「結局は“隙間産業”」「例えば目の前にC・ロナウドがいても…」権田修一の独自GK論

2017年08月10日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

「GKは出来が良くちゃいけないですからね」

権田は、GKという仕事を”隙間産業”という独特の言い回しで表現した。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ21節]柏 0-0 鳥栖/8月9日/柏
 
 まさに出色のパフォーマンスだった。
 
 前半終了間際にキム・ボギョンのシュートを止めると、80分には伊東純也との1対1を制した。さらに、82分には小池龍太のミドルシュートをストップするなど、柏の決定機をことごとくストップ。奮迅の活躍で無失点に抑え、守勢に回っていたチームに勝点1をもたらした。
 
 試合後、権田に「今日の出来を自己評価すると?」と質問してみた。すると、権田は「え?自分の出来!?」とやや困った様子で、話し始めた。
 
「GKは出来が良くちゃいけないですからね。DFが寄せて、漏れたところをしっかり止めるという、結局〝隙間産業″なので、GKは。
 
 そこで今日はほとんどの場面でDFがしっかりと寄せていたので、シュートコースが限定されていた。フリーでシュートを打たれたのは、前半のクリスティアーノ選手のファーに巻いたシュート以外にはなかった。
 
 サイドでDFがボールにしっかり寄せたことで、力のなくなったクロスに対して出ていくとか、相手のキックミスを取るとか、それが仕事。欲張っちゃいけない。
 
 とはいえ、来たボールは全部処理するのがGKの仕事。ここからもう一段階上にいくことを考えたら、例えば目の前にクリスチアーノ・ロナウドがフリーでいて、すごいシュートが来ても、それをしっかり防ぐこと。ここから先に目指すのそういうところ」
 
 権田は、独特の言い回しでGK論を展開。味方の素早いプレスもあり、今日の出来にはある程度の好感触を掴んだようだ。それでもこのGKが目指す理想は、DFのサポートがなくても強烈なシュートを止められること、ということだろう。
 
 ある程度の満足感を口にしながらも、すでに権田は次節を見据えている。
 
「今日の試合では良い仕事ができましたけど、次節戦うF・マリノスには、ドリブルが凄い選手とかヘディングの強い選手がいるので、そこに対してまた準備をしなきゃいけない。
 
 今日の出来と言うよりは、年間通してチームに貢献しなければ意味がない。1試合良くても、その次がダメだったら、勝点3は取り続けられないので。GKは、直接勝点3を取ることはできないけど、無失点に抑えて、勝点3を積み重ねる確率を1㌫でも上げたり、こうやって勝点1を取ったりはできる。それこそがGKの仕事だと思うので、そこはこだわってやり続けたい」
 
 言葉の端々にGKとしての強いプライドを感じさせた。一時は日本代表にも選ばれた実力派GKが、再び存在感を高めている。
 
取材・文:多田哲平(サッカーダイジェストWEB編集部)
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