「契約解除違約金」ってなに? ネイマール電撃移籍で再注目

2017年08月04日 サッカーダイジェストWeb編集部

「契約解除違約金」が設定されていればクラブ間交渉は不要。

パリに向かうネイマール。バルサにとって今回の一件は予想外の展開だった。(C)REUTERS/AFLO

 史上最高額となる2億2200万ユーロ(約284億円)で現地時間8月3日に決定したネイマールのバルセロからパリSGへの電撃移籍で再注目されているのが、「契約解除違約金」だ。
 
 契約解除違約金(バイアウト条項とも呼ばれる)とは、契約書内で合意のうえに定められた一定の金額を支払うことによって、クラブまたは選手が一方的に契約を解除できるという制度である。これが設定されている場合は、移籍の際にいわゆるクラブ間交渉が必要ない。
 
 例えば、AクラブがBクラブに所属するC選手を獲得しようと思えば通常、AクラブはC選手とはもちろん、Bクラブとも移籍金の交渉が必要になる。「選手個人とは合意したが、クラブ間交渉で合意できず、移籍が成立しなかった」というケースが多いのはそのためだ。
 
 しかし、BクラブとC選手の契約に契約解除違約金が盛り込まれていれば、AクラブはBクラブとの交渉が不要。C選手と個人合意さえしてしまえば、定められた金額を払うだけでC選手を獲得できる。支払先は通常、クラブではなく、各国のリーグ連盟になる。
 
 昨夏はユベントスが、ゴンサロ・イグアインを引き抜くためにセリエA史上最高額の9000万ユーロ(115億円)の契約解除違約金をリーグ連盟に支払って、大きな話題となった。この際もナポリとのクラブ間交渉は存在しなかった。
 
 もともとは1990年代初頭にスペインで広まったもので、同国の国内法でのみ認められていた。国際的に大きな問題となったのが、97年にロナウドがバルセロナからインテルに移籍した際。インテルはロナウドとバルサの契約に定められていた違約金を支払って移籍を成立させようとしたが、当時はこのスキームを認めていなかったFIFAが取引を一時的にブロック。インテルがバルサに移籍金を支払う、通常の移籍形態を取らせた。
 
 その後、FIFAが2001年に改正した移籍規約で認められ、スペイン以外の国でも契約条項の中に含められるようになった。現在はスペインはもちろんイタリアでも一般化する一方で、イングランドやドイツでは違約金をケースがまだ少ない。両国では移籍をビジネスだと割り切っており、所属選手に理に適ったオファーがあれば売却するのが当然だと考える傾向が強いためだろう。
 

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