【石川直宏の決意】シーズン真っ只中の引退発表。そこには意図的な、ある重大な理由があった

2017年08月03日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

「そういう刺激をチームは必要としていた」

キャリアの晩年はなかなか思うようにプレーできず、チームのタイトル獲得に貢献できなかった石川。写真:サッカーダイジェスト

 FC東京の石川直宏が今季限りでの現役引退を発表した。しかしなぜ、8月2日というシーズン真っ只中のタイミングで、このベテランは重大な決断をマスコミに発表しようと思ったのか。
 
 このタイミングで現役引退を発表した背景には、今季のFC東京の低空飛行がある。J1リーグでは19試合を消化して7勝5分け7敗の11位、しかも直近の5試合は勝ち星なしと結果がついてこない。大久保嘉人、太田宏介、髙萩洋次郎など大型補強をしたにもかかわらず、優勝争いに食い込めていない現状はクライシスとさえ言える。
 
 そんなチーム状況を打破したいという思いもあって、石川は8月2日に現役引退を発表したのだ。
 
「(こういう状況だからこそ)発表したというのはあります。そういう刺激をうちのチームは間違いなく必要としていた。

 FC東京に入ってきた時にギラギラしていた選手たちも今は大人しい。その雰囲気って僕の中ではすごい怖いこと。僕はずっとこのチームにいたので分からなかったことでしたけど、実際、今回移籍でうちに来てくれた選手たちもそうなってしまっている。

 別にその選手が悪いわけではなくて、クラブの雰囲気がそうさせていると、そこに自分も凄い責任を感じていて……。ピッチから離れて客観的にチームを見ているから余計にそう感じる。だからこそ、そういうところをなくしたい。もっと言い合って、もっと求め合って、年齢、立場関係なしに、怪我人だって言っていいし。そういうところが必要なんじゃないかなと」
 
 この熱い思いを、FC東京の選手たちはどう捉えるだろうか。その答は後半戦の戦いぶりで明らかになるはずだ。
 
取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)

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