【総体】流経大柏を4強に導く超絶ショット! 決めたのは期待の2年生アタッカー

2017年08月02日 川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

「一度スタメンを掴んだら、選手権まで手放さない」。

途中出場の熊澤(14番)が、大仕事をやってのけた。後半29分、殊勲の決勝ミドルを蹴り込んだ。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 よもやのミラクルショットが、流経大柏をベスト4へと導いた。
 
 全国高校総体(インターハイ)の準々決勝、流経大柏vs長崎総科大附の一戦。立ち上がりから激しい潰しあいとなった攻防戦は、1-1のまま終盤に突入していた。そして後半29分、流経大柏に逆転ゴールが生まれる。

【インターハイPHOTO】流経大柏、市立船橋ら関東勢4校がベスト4進出!
 
 MF近藤潤が右サイドに流れるMF熊澤和希へパス。相手DFを軽くかわした長身アタッカーは、右45度、ゴールまで25メートルの位置から右足を強振する。誰もが驚くタイミングでの強引な一撃だった。
 
 それが、センタリングに備えて前傾姿勢だった敵GK湊大昴の完全に逆を衝く。それまで堅守を披露していた守護神が慌てて戻るも一歩及ばず。拮抗したスリリングな局面で、ファインゴールが飛び出した。
 
「ゴールがしっかり見えていたんで、思いっきり撃ってやろうと思った。キーパーが出ていたのも分かっていたし、絶対に入るぞと。遠いかもとは思いませんでしたね。あんましああいうのを決めるイメージではないですけど」
 
 そう言って、熊澤は控え気味に笑った。
 
 入学時から、期待値の高かった2年生アタッカーだ。トップ下を主戦場に攻撃的な位置ならどこでもこなし、高度な技巧と非凡な創造性でゴールに絡んでくる。昨夏にはU-16日本代表にも選出されるなど、着実に成長を遂げてきた。
 
 だが今季、レギュラー定着が有力視されながらも、選手層の厚いチームにあってなかなか突き抜けられなかった。今大会も初戦がベンチスタートで、3回戦が先発フル出場、そして準々決勝が控えと目まぐるしい。鬱積した想いを、あの一撃に凝縮させたのだ。
 
「安定感のあるプレーが僕のひとつの持ち味です。でもそれではアピールにつながらないし、スタメンを完全に獲ることはできない。出たら結果にこだわろうと思ってました。一度スタメンを掴んだら、選手権まで手放さないつもりでやります」

次ページ9年ぶりの日本一へ、ラッキーボーイとなれるか。

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