「タイのメッシ」チャナティップはJリーグで通用するのか?

2017年07月31日 斉藤宏則

リーグ戦デビューの出来は、敢えて「無難な出来」と評しておきたい。

19節の浦和戦でリーグ戦デビューを果たしたチャナティップ。大きな違和感なく無難にプレーをしてみせた。(C)J.LEAGUE PHOTOS

[J1リーグ19節]札幌2-0浦和/7月29日/札幌ド

 "タイのメッシ"こと札幌のタイ代表MFチャナティップ・ソングラシンが、29日に札幌ドームで行なわれた浦和戦でリーグ戦デビューを果たした。

 26日のルヴァンカップ・プレーオフラウンド、C大阪戦で途中出場を果たしてテクニカルなプレーを披露していたが、地元サポーターの前で公式戦を戦うのはこの試合が初めて。
 
 前売りチケットは前日までに3万枚以上が売れ、当日の来場者数は33,353人を記録。チャナティップのホームデビューを記念して約3万本のタイ国旗が配布されており、ギッシリと埋まったスタンドに大量のタイ国旗が揺れる光景は壮観なものだった。
 
 チャナティップ本人も「たくさんの人々が国旗を振ってくれて、すごく嬉しい気持ちになった」と試合後に笑顔で振り返っている。
 
 スタメンの予定であることを告げられたのは、前日の練習後だったという。
 
「監督から伝えられた時は、すごく興奮しました。ものすごくドキドキしましたね」と、その時の心境を説明する。ただし、緊張はまったくしなかったとのことだ。
 
「ポジティブな意味での緊張感がありました。前夜もぐっすりと眠りましたよ。夜11時には眠りにつき、朝8時半頃に目覚めました。寝すぎですかね?(笑)」
 
 そして試合での活躍ぶりであるが、3トップの一角として出場した彼のプレーは敢えて「無難な出来」と評しておきたい。
 
 間違えて欲しくないのは、この「無難な出来」というのは極めてポジティブな意味であるからだ。考えてもみて欲しい。日本人選手だとしても、シーズン途中に移籍をしてすぐにチームにフィットすることは容易ではない。数試合は猶予を見てもいいくらいだろう。
 
 それがこのチャナティップはタイから日本へと海外移籍をし、サッカースタイルや生活文化が大きく変化したなかでのプレーなのである。「正直、加入してからしばらくは大変なことも多いのだろうな、と覚悟をしていた」とチャナティップはデビューを前に本音を明かしていた。そうしたなかで大きな違和感なく無難にプレーをしてみせたのだから、「素晴らしかった」という四方田修平監督の評価も的を射ている。

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