天皇杯でジャイキリを演じる筑波大の重要戦力、戸嶋祥郎の魅力

2017年07月15日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

高校時代にひとりだけ異彩を放つ選手がいた。それが…。

筑波大でキャプテンシーを発揮する戸嶋。写真:竹中玲央奈

 2013年12月中旬、埼玉県のさいたま市にある市立浦和高でサッカー部監督の池田一義氏に取材すると、こんな話をしてくれた。
 
「チームの中心は間違いなく戸嶋ですね。正直、彼の代役だけはいません」
 
 その年末に開幕する冬の高校サッカー選手権に向けて練習に励むチームを見ると、確かにひとり異彩を放っている選手がいた。それが、当時高校3年の戸嶋祥郎だった。
 
 ひと目見ただけで「センスがある」と分かるボール捌き、正確なフィードはもちろん、練習中に後輩の輪に入ってチームを盛り上げるリーダーシップが素晴らしかった。どんな質問にもハキハキと答え、どこか大人びた雰囲気を醸し出していた戸嶋はその落ち着いたスタンスで高校選手権でも魅せた。
 
 初芝橋本高との大会初戦、いきなりPKで先制点を決めると、石神佑基の決勝ゴールをアシスト。「攻めて勝つ」(池田監督)を見事に体現した戸嶋は続く富山一高との3回戦で活躍できなかったものの、まずまずのインパクトを残したのだ。
 
 一般入試で筑波大に進学した戸嶋は、それから3年の時を経てキャプテンマークを巻く機会も増えた。そしてアグレッシブな走り、ゴール前への鋭い飛び出し、絶妙なスルーパスを武器に攻撃陣を牽引。高校時代からはるかにスケールアップしている彼もまた、得点源の中野誠也らとともに天皇杯での快進撃を支える"主役のひとり"と言えるだろう。
 
 1回戦のYSCC横浜戦、2回戦の仙台戦、3回戦の福岡戦でいずれも先発出場した戸嶋は、そのうち1回戦と3回戦でキャプテンの重責を担っている。天皇杯の舞台でジャイアントキリングを演じる筑波大にとっても、戸嶋は不可欠な戦力だろう。さらなる驚きを提供するためには、この戸嶋の攻守に渡る奮闘、そしてなによりキャプテンシーが大きな鍵になるはずだ。

文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)
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