スペインで発見!「人柄」が抜群に良いイケメンDF

2017年06月17日 江國 森(サッカーダイジェストWeb編集部)

ひとりだけ足を止めて、約15分も取材に対応。

冬に加入し、初挑戦のリーガで即座にフィットしたラングレ。新シーズンのさらなる飛躍が期待される。(C)Getty Images

 あれは約3か月前の3月19日、リーガ・エスパニョーラ28節でセビージャが敵地ビセンテ・カルデロンでアトレティコ・マドリーに敗れた後のことだ。
 
 チャンピオンズ・リーグ(CL)のストレートイン(3位以内)を争うライバルに1-3というスコア以上の完敗を喫し、当然ながら引き上げるセビージャの選手たちの表情は固く、口も重かった。
 
 試合終盤に鮮やかな突破から一矢を報いるゴールを奪ったMFホアキン・コレアが、チームの代表として報道陣の前に立った以外は、ほとんどの選手が無言でミックスゾーンを通り過ぎて行く。攻撃の中心であるサミア・ナスリは、「話すことがあるわけないだろ」と言わんばかりに、「ふん」と鼻を鳴らしてその場を立ち去ってしまった。
 
 そんな中、ある記者の呼び掛けに応じて、ただひとり足を止めたのがCBのクレマン・ラングレだった。後半から3バックを4バックへ変更したこともあり、ハーフタイムに交代させられていたにもかかわらず、嫌な顔ひとつせずに丁寧に質問に答える姿は、非常に紳士的で好感が持てた。
 
 囲み取材が終わったコレアがチームバスに乗り込み、ホームのアトレティコの選手たちが姿を現わしてもその場に留まり、結局、約15分近くも記者の質問に答えていたのだ。
 
 ラングレの人間性が伺えるシーンは、ほかにもある。2月に行なわれたCL決勝トーナメント1回戦のレスター戦(第1レグ)で負傷し、途中交代した時だ。重要な一戦で交代を余儀なくされ、さぞ無念だったはずだが、ベンチへ退いた後、スタッフや控え選手たち全員と握手をしてから腰を下ろしたのだ。冬に加入して、まだ1か月ほどしか経っていなかった選手が、なかなかできる行為ではないだろう。
 
 ピッチ上でも印象的なパフォーマンスを披露した。世界的にはほぼ無名に近い存在だったにもかかわらず、186センチの体躯を活かした安定した守備と、左足の正確なフィードを武器にすぐさまホルヘ・サンパオリ監督(シーズン終了後にセビージャを退団し、アルゼンチン代表監督に就任)の信頼を勝ち取り、レギュラーの座を奪取した。
 
 目まぐるしくシステムを変化させるサンパオリ流にすぐさまフィットし、4バックの左CBをはじめ、3バックの左CB、左SBとさまざまなポジションで機能した点は称賛に値する。
 
 まだ21歳という若さにもかかわらず、ベテランのような落ち着きで敵FWと対峙する様は、ミックスゾーンでの丁寧な対応と重なるものがあった。

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