【指揮官コラム】鹿児島ユナイテッドFC監督 三浦泰年の『情熱地泰』|行きつけのサウナと代表戦

2017年06月15日 サッカーダイジェストWeb編集部

元鹿児島実業高野球部の75歳にサウナで話し掛けられ……。

試合後にサポーターに挨拶をする三浦監督。チームは現在、昇格圏に5ポイント差の6位につける。(C) SOCCER DIGEST

 鹿児島で新しい温泉サウナを紹介してもらい、ここ何週間か、必ず週一度は汗を流すようにしている。俗に言う"行きつけの"サウナができた。
 
 何が気に入っているかといえば、まずはサウナの温度が高い。そしてお湯がヌルッと気持ち良い。さらに、あまり大きな声で言えないが、それほど人が多くないのだ。
 
 そんな行きつけの温泉も今日で6回目。今まで一度も話し掛けられたこともなく、正直ゆっくりサウナとお湯を堪能できる安らぎの場所であった。
 
 話しかけるのは受付の女性のみで、人が良く感じの良い店である。実はそんな行きつけで、初めて声を掛けられた。
 
「監督さんなんだね…」と(笑)。75歳。うちの両親と同じくらいの年齢で鹿児島実業の野球部だったという男性は、気さくに受け応えをする僕に「話し掛けられると嬉しいやろ……」と笑ってみせた。
 
 僕が苦笑いしながら「はい~」と言うと、その男性の友人が「でも結果次第で大変だよね~」と、ひと言……。
 
 街で話しかけられると、よく尋ねられるのだが、「住みやすいですか?」という質問をされる。
 
 これがまた難しい。鹿児島は本当に素晴らしい場所だし、どんな所でも住めば都。良い所がたくさんある。
 
 ただ僕らは現役時代から、その街のプライドを背負って戦っている。だから、そんなに簡単には割り切れない面もある。そう、サッカーの結果がどうであるかは、本当に大事なことなのである。
 
 そんななか、75歳の男性はこんなことを言う。
「選手への要求が強すぎるのは『名選手、名監督にあらず』であり、今の選手には通用しない」
 その強すぎる要求は、「監督さんが凄い選手だったからである」というのである。野球にたとえて鹿児島弁で説明してくれたが、理解は50パーセント(笑)。
 
 ただ、その夜の代表戦を見ていて、このサウナでの話を思い出した。

次ページ自分自身への最高の厳しさを心に秘めて闘い続けてほしい。

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