【イランレポート】テロの余波&ラマダン期間中――、ハリルジャパンは過酷な状況で決戦を待つ

2017年06月12日 本田健介(サッカーダイジェスト)

街は穏やかな雰囲気も…。

テヘラン近郊で練習を行なう日本代表。現状で身の危険を感じるシーンはない。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

 ワールドカップ6大会連続出場を目指す日本代表は、6月13日、最終予選のイラク戦に臨む。イラクは政情不安のため、自国でのホーム開催が不可能で、決戦の地は"中立国"イラン・テヘランとなった。
 
 連日40度近くまで気温が上がる現地は、肌を刺すような日差しも重なり、とにかく暑い。さらに現在はイスラム教の断食月ラマダンの期間中(5月27日から6月25日まで)で、6月7日には国会議事堂、ホメイニ廟で「イスラム国」によるとされるテロも発生。9日には犠牲者を悼む集会も行なわれた。ただ、日本代表が現地入りしてから3日、街の様子を見ていると、不安視された物々しい雰囲気はそこまで感じられない。
 
 もっとも、日本代表の練習場の門は固く締められ、パトカーが配置されるなど厳戒態勢は続く。多くの観客が集まる試合当日には何が起こるか分からない不安もある。
 
 在日イラン日本国大使館は「ラマダン期間中は日の出から日没の間までは公共の場で飲食(ガム、飴も含む)や喫煙を避けるように(試合当日のスタジアム内の日本人専用席では、水の持ち込みはOKとされている)」との注意喚起をしており、「テロの標的となりやすい場所(公共交通機関、観光施設、市場、スタジアム等不特定多数が集まる場所や政府施設、軍、警察、治安関係施設、モスクなどの宗教関係施設など)を訪れる際は注意が必要」とも明記している。
 
 日本は2015年の9月にアジア2次予選のアフガニスタン戦(この時もアフガニスタンの政情不安のため中立地として)、同年10月には親善試合のイラン戦をテヘランで戦っており、環境面で免疫はある。だた、当時と状況が異なり、会場も過去2回を戦ったアザディ・スタジアムではなく、シャヒード・ダストゲルディ・スタジアム(通称パス・スタジアム)だ。ハリルホジッチ監督の要求が実り、ピッチの整備は進んでいるというが……。イラク戦は、厳しい戦いが待っているだろう。
 
取材・文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
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