【日本代表 │プレー分析】久保裕也、沈黙の背景とは? "あの男"とパス交換でリズムを作ったが…本田圭佑との『差』も

2017年06月07日 塚越 始(サッカーダイジェスト)

右中心で攻めていたが、香川の負傷交代がひとつの分岐点に。見せ場は前半終了間際のシュートのみで、3戦連発ならず。

久保は前半終了間際に惜しいシュートを放ったが、見せ場はこの一回限りだった。写真:サッカーダイジェスト編集部

[キリンチャレンジカップ]
日本代表 × シリア代表
2017年6月7日/東京スタジアム
 
 FW久保裕也は、昨年11月のサウジアラビア戦から4試合連続で右MFとしてスタメン出場し、前半終了までプレー。前半終了間際に左足で強烈なボレーシュートを放ったものの、ノーゴールのまま本田圭佑と交代した。3月シリーズのUAE戦(2-0)、タイ戦(4-0)に続く、3試合連続ゴールはならなかった。
 
 シリア戦のキックオフ直後、吉田麻也が久保のいる右サイドにロングフィードを放つなど、立ち上がりはチーム全体が右サイドを使って攻めようとする意図が感じられた。久保は今野泰幸とのパス交換でリズムを作ろうと試みる。

 しかし対峙する相手DF3番(アルアジャン)のマンマークを受け、バックパスで組み立て直すシーンが続いた。8分には大迫勇也とのパス交換から前を向いてドリブルで仕掛けたものの、カットされてしまう。
 
 すると開始10分、香川真司が左肩を痛めて途中交代に。代わってトップ下に入った倉田秋は、やや左寄りでビルドアップをする機会が増え出す。

 ここからの久保は右サイドでフリーになって余り、フィニッシャーとしての役割が求められるようになる。18分にはサイドから中央に位置取り、吉田からの縦パスを原口に託して惜しいチャンスを作り出した。
 
 ただ、前線が連動し合う機会は単発で、20分からはパスが入らず沈黙の時間がしばらく続く。30分にはベンチ前に出たハリルホジッチ監督が、中盤まで下がってボールを受けたがる前線の3人に対し「下がるな。ポジションを上げろ!」と檄を飛ばした。
 
 34分にようやく初めて、同サイドのSBの酒井宏樹との縦パスから仕掛けたもののボールを奪われてしまう。そして44分、今野からのパスを受けて、左足の強烈なボレーを放ったが、惜しくも枠を捉え切れなかった。
 
 久保とのパス交換が最も多かったのは、同サイドにいた右ボランチの今野で計11本。久保が今野から受けたパスは5本、久保が今野に出したのは6本。ただし、バックパスがほとんどだった。

 40分に相手選手と接触し、腰をさすっていたのはやや気掛かりだったが……ハーフタイムを挟み、本田と交代している。

次ページ空中戦で対照的だった久保と本田。乾の活躍もあり、レギュラーは黄信号?

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