【小宮良之の日本サッカー兵法書】強国に比肩する技術を持つ日本がU-20W杯で勝ち続けるには!?

2017年05月30日 小宮良之

技術を出すには戦術、体力、メンタルの充実が同時に必要になる

イタリア戦で両極端な姿を見せた日本。ここまでの経験をトーナメントラウンドで活かせるか。 写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 U-20ワールドカップのグループステージ、日本は上々の滑り出しだった。初戦で南アフリカを2-1と逆転で下し、一気に評価を高めたからだ。
 
「世界に通用する!」
 
 特に途中出場の久保建英を絶賛する風潮で、楽観論が流れた。
 
 しかし実状は、南アフリカが「世界」を感じさせるようなチームではなかったということだ。前線にスピードのある選手を配置し、脅威は感じさせたものの、戦術的には場当たり的で、組織は破綻していた。
 
 とりわけディフェンスの規律の欠如は明らかで、お互いの距離感は拙く、カバーリングの意思も感じさせなかった。目の前のボールに食らいつくだけで、ゴール前ではゾーンも、マンマークもないに等しく……。
 
 日本の勝利は必然に近かった。
 
 この大会に挑む日本の選手たちは、総じて技量が豊富である。落ち着いて挑むことさえできれば、南アフリカのような相手には難なく戦える。
 
 例えば、岩崎悠人(京都サンガ)はこの年代では群を抜くフットボールセンスで、サイドに流れた時の機の捉え方に優れている。久保にしても卓抜したものがあり、甘いマーキングで自由を与えられると、何でもやってのけられた。
 
 しかし技量が豊富にあっても、その技術をいつ、どこで、どうやって、適切に出せるか、という点で、日本はまだ課題を抱えている。「技術を出す」には、戦術、体力、メンタルの充実が同時に必要になる。「技術が出せない」というのは、勝負弱さに通じるのだ。
 
 第2戦、南米王者ウルグアイ戦は、まさにその象徴と言える攻防になった。
 
 技量としては、互角に戦えた。事実、序盤は一進一退の攻防を繰り返している。ところが前半で小川航基を怪我で欠いたことにより、チームは突如として浮き足立った。
 
 前線で高さ、強さを発揮していた小川がいなくなったポジションに、スキルやセンスはあるが、高さも強さも望めない久保を投入したことによって、バックラインの選手たちが戸惑いを見せる。
 
 それまで、相手のプレスを回避するために蹴っていた長いボールを蹴れなくなった。選択肢を狭められたことに、対応できなかったのである。これによって攻守全体の回路が滞り、狼狽したところを衝かれ、必然的に失点することになった。

次ページウルグアイ戦で経験不足を晒し、イタリア戦では窮地で本領発揮

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