【U-20】ウルグアイ戦の苦闘を糧に…中盤の番人・原輝綺が挙げたイタリア戦への課題とは

2017年05月26日 安藤隆人

ウルグアイ戦に出なければ感じられないことは多かった。

優勝候補のウルグアイを相手に厳しい戦いを強いられながらも、得難い経験もした。原にとって大きな財産となる一戦だった。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 優勝候補の一角であるウルグアイを相手に、0−2の敗戦。
 
 本気の南米王者の攻撃を一身に浴びたMF原輝綺は、試合後、その経験を大きな財産と捉えていた。
「手応えと課題が両方出た試合でした。相手との個人の差を見せつけられたと思います。組織で戦えれば良いのですが、個の勝負になると厳しかった」
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 立ち上がりからデラクルス、スキアッパカッセ、アグスティン・ロヘルの強力3トップを軸に、猛攻を仕掛けて来たウルグアイに対して受け身に回った。3人は常に日本の4バックの間にポジションを取り、さらにボールがあるサイドとは逆のサイドバックが、日本のサイドバックの背後を取るなど、前線にかなりの人数を掛けて来たこともあり、原は常に後ろ向きの守備を余儀なくされたのだ。
 
「せめて自分の前で、前向きにボールを奪えるようなシーンが増えれば良かったのですが、今日はそれがなく、難しい守備をしなければいけなかった」
 
 苦しみながらも、彼は3トップに対するプレスバックとボールホルダーへの寄せを的確な判断で行ないながら、中盤の守備の中枢を担った。しかし、それをもってしても、ウルグアイの個のレベルの高さと、戦略的な試合運びの上手さの前に、無駄走りを多く強いられる展開となった。
 
 結果、原は終盤に足を攣った。正直、彼が足を攣るシーンはこれまで見たことがなかった。市立船橋時代もどんなにタフなゲームでも、その足が止まることはなかったし、新潟でもボランチにサイドバックにと複数のポジションをこなすなかでも、原はフルタイムを戦い抜く力を持っていた。しかし、世界のトップレベルは甘くはなかった。81分、彼は交代を余儀なくされた。
 
「個の強さは想像以上だった」
 その感想は、本物の世界を目の当たりにしたからこそだった。さらにこう続ける。
 
「すごく良い勉強になったし、得るものも大きかった。個人としてはすごくこのタイミングで優勝候補と対戦できて、さらにスタメンで出られたことがプラスだと思います。この試合に出なければ感じられないことは多かったので、そこは本当に大きいと思います」
 
 この経験を生かす機会はまだ残されている。決勝トーナメント進出が懸かったイタリアとのグループステージ最終戦だ。
 
「プレースピードや体格は今から同じにするのは無理なので、いかにタイミング良く、相手の嫌なタイミングで寄せに行けるか。(パスを)出させて奪うことが僕の得意なプレーなので、そこの質を意識して、イタリア戦では相手に仕事をさせないようにしたい」
 
 このままでは終わらない。ウルグアイ戦で受けた衝撃を力に変え、守備の職人はさらに集中力を研ぎ澄ませて、ヨーロッパの強豪・イタリアとの一戦に挑む。
 
取材・文:安藤隆人(サッカージャーナリスト)
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