ブルガリアから日本代表へ! ハリル監督が満を持して招集した加藤恒平とは!?

2017年05月25日 サッカーダイジェストWeb編集部

「ボールを奪う役割だが、しっかり組み立てもできる」(指揮官)

加藤は新たな代表への道を切り拓くか。非常に楽しみな存在だ。写真はポーランド時代のもの。 (C) Getty Images

 6月7日のキリンカップ・シリア戦、13日のロシア・ワールドカップ最終予選・イラク戦に臨む日本代表メンバーが発表されたが、一番のサプライズとなったのは、ブルガリア1部リーグのベロエ・スタラ・ザゴラでプレーするMF、加藤恒平(かとう・こうへい)の初招集だろう。
 
 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は「約1年をかけて彼を追跡し、スタッフが現地で4試合、直にプレーを見た。ビデオでも見ている」と語り、昨年9月に加藤について言及していたが、一般には馴染みの薄い選手であると言える。
 
 1989年6月14日生まれの27歳で、和歌山県新宮市出身。地元のサッカークラブでプレーした後、12歳の時にジェフ千葉の下部組織に入団し、ここで技術を培った後、立命館大学に進学した。
 
 在学中に2度アルゼンチンに渡り、4部リーグのサカスチパス入団間際までいったものの実現せず、2012年に帰国。その後、町田ゼルビアに練習生を経て正式に入団し、29試合に出場した(得点なし)。
 
 日本代表を目指し、そのためには常に外国人選手と対戦できる環境にいること必要だという考えの下、加藤は2013年に再び日本を飛び出し、今度は東欧に向かい、モンテネグロ1部のルダルに加入。1年目は30試合出場1得点の成績を残す。
 
 翌シーズンは31試合出場7得点でチームのリーグ制覇に貢献し、自身はリーグのベスト11に選出されるなど、大活躍を見せた。
 
 15-16シーズン、ポーランド1部のポドベスキジェに移籍し、35試合に出場して1ゴールを記録。奮闘したもののチームは2部降格となり、加藤は1年でチームを去り、今シーズンからはブルガリア1部のベロエでプレーしていた(今シーズンは14チーム中7位)。
 
 このクラブでは、リーグ戦28試合出場1得点の成績を残した他、欧州カップ戦にも出場し、ヨーロッパリーグ予選2回戦(フィンランドのHJK戦)では田中亜土夢との日本人対決も実現。チームは敗退したものの、加藤自身は着実にステップアップを果たしている。
 
 ハリルホジッチ監督によると、そのプレースタイルや特徴は、「ボールを奪う役割だが、しっかり組み立てもできる。山口蛍に少し似ている。彼ほどのパワーはないが、良いパスが出せ、守備の修正役も担える。プレーがアグレッシブで予測能力も高い。経験もある」という。
 
 もっとも、「すぐにプレーさせるわけではない。互いを理解する時間が必要。今野(泰幸)がどうなるか分からないので、その時に加藤が必要になるかもしれない」と指揮官が語るように、代表のピッチに立つには、まだ乗り越えなければならないハードルが存在する。
 
 加藤は自らを「闘える選手」と語っており、この部分を前面に押し出せれば、「デュエル」を重要視するハリルホジッチ監督にとって、この173センチ・70キロのMFプレーヤーは、常に手元に置いておきたい人材のひとりとなるかもしれない。
 
「多くの選手をテストしてみたい」という指揮官の希望の下で実現した初招集。ここで力を発揮し、チャンスをモノにすることで、彼の長年の夢が実現するだけでなく、夢を求めて海を渡る他の若者たちにも大きな希望を与えることになる。そのプレーには要注目だ。

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