【日本代表】ついに一石が投じられた守護神争い。柏の中村航輔が待望の初選出!

2017年05月25日 古田土恵介(サッカーダイジェスト)

柏アカデミーが輩出した“最高傑作のGK”との呼び声も。

リーグ2位につける柏でビッグセーブを連発する中村航輔。ついに日本代表へと上り詰めた俊英は、このまま風穴を空けられるか。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 ここ数年は固定化されていた日本代表の正GK争いに、ついに一石が投じられた。
 
 5月25日の15時過ぎ。6月のシリア戦(7日/親善試合)、イラク戦(13日/ワールドカップ予選)に向けた日本代表メンバーが発表された。その1枚目のスライドに浦和の西川周作、FC東京の林彰洋という"3月シリーズ"に招集された2人は選ばれなかった。
 
 上からメスの川島永嗣。G大阪の東口順昭。そして、昨年の10月17~19日のGK合宿にこそ呼ばれたものの、試合に向けては初選出となる柏の中村航輔。リオ五輪にも出場し、柏のアカデミーが輩出した"最高傑作のGK"とも呼ばれる22歳の俊英の名前が、3番目に記されていた。
 
 中村が台頭したのは2015年、レンタル移籍した福岡でのこと。シーズン途中から守護神の座に就くと、セーブ率87.3パーセントという脅威の数字を叩き出す。9月以降は出場12試合中9試合でクリーンシートを達成し、J1復帰に大きく貢献した。
 
 武者修行から柏へと復帰した16年には、要所で好プレーを連発。最後方からチームを鼓舞した。そうしてクラブで定位置を奪取すると、迎えた今季はビッグセーブを当たり前かのように披露し続けている。
 
 J1・10節のC大阪戦では前半終了間際に杉本健勇、後半終了間際に清武弘嗣の決定機を阻止。後者はシュートがDFに当たってコースが変わる難しいものだったが、ゴールを許さなかった。
 
 J1・11節のFC東京戦では15分に太田のFK、22分にはゴール正面からの東のシュートに鋭く反応。さらに30分の前田のヘッドも防ぐなど、最上級の輝きを放った。
 
 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が選考理由を話すなかで、中村について「5番手くらいの選手だったが、ここ最近は素晴らしいクオリティを見せてくれているのでメンバーに入れた」と言及した。
 
 さらに「柏はリーグ戦で2位につけているが、彼のパフォーマンスによるところが大きいのではないか」と続けた。最大限の賛辞と受け取ってもいい。実際にここまでの失点数は11で、リーグ3位タイと堂々の成績を残している。
 
 それでも、今回の6月シリーズでいきなりゴールマウスを任される可能性は低いだろう。ただし、日本代表で得られる経験は何にも代えがたい。中村が描く成長曲線は、より急激な右肩上がりとなるはずだ。

文:古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)

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