「金の亡者」から英雄へ! 母国スウェーデンからの批判を結果で封じ込めたブンデスリーガのアシスト王

2017年05月23日 鈴木肇

ドイツのサッカー専門誌から「リーグ最高の選手」と称賛される

1991年10月23日生まれの25歳。新興クラブで大きな成長を遂げた高性能MFには、欧州中の多くのクラブから熱い視線が注がれているが、頂点を目指すライプツィヒが彼を手放すはずがない。 (C) Getty Images

 ブンデスリーガ昇格1年目のRBライプツィヒが、リーグ戦を2位でフィニッシュし、チャンピオンズ・リーグ(CL)出場の権利を獲得した。
 
 その原動力となったのが、MFのエミル・フォシュベリだ。
 
 シーズン序盤こそベンチを温める日々が続いたが、今シーズン2度目の先発出場となった6節のアウクスブルク戦でゴールを決めると、以後は左サイドのポジションを確保した。
 
 残した数字は30試合出場8得点。特筆すべきは、アシスト数だ。ブンデスリーガ公式によると、積み上げたその数は19。バイエルンのフランク・リベリやトーマス・ミュラーらを抑えて、見事トップになった。
 
 メディアやチームメイトも、フォシュベリを高く評価している。
 
 ドイツのサッカー専門誌『キッカー』の週間ベスト11に選出された数は、アリエン・ロッベン(バイエルン)の8回に次ぐ7回。ライプツィヒの主将ドミニク・カイザーは、「パスとドリブルはブンデスリーガ屈指。彼がチームにいてくれて良かった」と称賛した。
 
 祖父レナートおよび父レイフともに元サッカー選手で、いずれもスウェーデン北部のスンツバルで活躍。フォシュベリ自身も2人と同じ道を辿り、当時17歳だった2009年にこのクラブ(当時2部)でトップチームに昇格し、すぐさまレギュラーに定着する。
 
 12年12月に国内の強豪マルメに移籍すると、左サイドハーフのポジションを勝ち取ってリーグ2連覇に貢献。2シーズン目の14年はCLに出場し、国内リーグでは2度のハットトリックを含む14得点をマークするなど、キャリア最高とも言える年を過ごし、翌15年1月にライプツィヒと契約を結んだ。
 
 初の国外挑戦となったが、加入後すぐさまチームにフィット。2シーズン目の15-16シーズンは32試合出場8得点という記録を残して1部昇格に大きく貢献し、『キッカー』に「リーグ最高の選手」と絶賛された。そして今シーズンの活躍ぶりは、冒頭で紹介した通りである。
 
 順風満帆に見えるフォシュベリのサッカー人生だが、ライプツィヒに移籍してからは「批判との戦い」だった。
 
 最終節のフランクフルト戦を終えた後、スウェーデンのメディアに「周りは自分の移籍を批判したけど、今はどうだ?」と語った。一体、何があったのか。マルメからライプツィヒに移籍した15年1月に時計の針を戻そう。

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