【鹿島】“キャプテン”昌子源の苦悩と覚悟。「切り替えようや」の一言に込める想い

2017年05月22日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「下を向いて広州に行けば、負けるのが目に見えている」

キャプテンとして、不振にあえぐチームを立て直すことができるか。目の前に立ちはだかる壁を「自力で乗り越えたい」と強い決意を口にした。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ12節]鹿島 0-3 川崎/5月19日(金)/カシマ
 
 DFとして、不甲斐なさを痛感していた。
 
 8節の磐田戦で3失点し、「もう絶対に3失点はしない」と強く心に誓ったはずだったが、ホームに川崎を迎えた一戦で再び、3つのゴールを許す。0-3の完敗。前節・神戸戦も1-2で敗れており、今季初の連敗を喫した。
 
 本音を言えば、ひとりで落ち込んでいたかった。だが、神戸戦に続き、左腕に腕章を巻いてピッチに立った昌子源に、それはできなかった。
 
「試合が終わった後、下を向く選手がすごく多かったように思った。それで、一人ひとりに『切り替えようや』って声をかけて、タッチして。それでみんなが顔を上げてくれたり、少しでもプラスに働いてくれれば、と」
 
 試合に負けた後、キャプテンとして何をすべきか。とにかく、チームとしてテンションが下がり、敗戦を引きずるのは避けたかった。
 
「こういう時こそ、ネガティブになるんじゃなくて。かといって、あからさまにポジティブになるのもちょっとおかしいけど、ネガティブのままだと、自らをもっと苦しくさせると思うから」
 
 次の試合は4日後に迫っている。ACLの決勝トーナメント1回戦のファーストレグ、敵地での広州恒大戦だ。「下を向いて広州に行けば、負けるのが目に見えている」と、危機感を募らせてもいた。
 
「負けた後に、なにすぐ切り替えとんねんって言われるかもしれないけど、でも切り替えるしかないから」
 
 自分のことより、チームのこと、チームの勝利を考えて行動する。「負けた時にどういう振る舞いをするかは、見られる立場になったと思う」と真剣な表情を見せ、「キャプテンマークを巻いたからって、調子に乗りやがってと思われるかもしれないけど」と報道陣の笑いを誘う昌子には、リーダーとしての強い覚悟がある。
 
「自分がキャプテンマークを巻いて、2連敗。これで、キャプテンはもう嫌ですとか、自分がキャプテンをやったら負けると考えたりとか。それは自分自身を弱くすると思う。
 
 自分のやっていることは間違いじゃない。(小笠原)満男さんや、ソガさん(曽ケ端準)の背中を見て、学んできたこと。誰かが違う方向に行こうとしたら引き戻すし、誰かが下を向いていたら『引きずるな、顔をあげろ』と言ってあげたい」
 

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