「興奮すると誰にも分らない言葉で…」マッザーリがワトフォードを追われた本当の理由

2017年05月18日 サッカーダイジェストWeb編集部

興奮すると周囲の分からないイタリア語で喋りはじめる。

類まれな戦術眼を兼ねるマッザーリ。その国外キャリアは、基本的な言葉の壁に阻まれた。 (C) Getty Images

 現地時間5月17日、プレミアリーグのワトフォードは指揮官のワルテル・マッザーリが今シーズン限りで退任することを発表した。
 
 マッザーリはサンプドリアやナポリ、インテルなどイタリアの名門クラブを率いてきた実績を買われ、今シーズンからワトフォード監督に着任。指導者として初めての国外挑戦を果たした。
 
 しかし、プレミアリーグでの戦いは一筋縄ではいかず、残り1試合を残したところで16位と低迷。残留という最低限の結果は残したものの、1年での退任が決まった。
 
 なお、同クラブのスコット・ダックスベリー会長は、「クラブの将来や野心について彼と会談の場を持ち、指揮官としての職を2016-17シーズンの最終戦をもって終了することを決めた」とコメントした。
 
 シーズン開始当初から強いこだわりを持つ3バックを用いてきたマッザーリの解任については、一部報道でその戦術がクラブの理想にそぐわなかったことが最大の理由と報じられたが、英紙『ミラー』はイタリア人指揮官が職を追われた理由が別にあると伝えている。
 
 同紙はマッザーリが英語を熱心に勉強しようとせず、「周囲と満足にコミュニケーションを取れなかった」と指摘したのだ。
 
 マッザーリはクラブから「クリスマスまでに英語で公衆の面前で喋れるように」と命じられていたにも関わらず、依然として通訳を介したイタリア語を多用。これにクラブ上層部は不満を抱いていたという。
 
 さらにチームへの指示もマッザーリは、英語は片言程度で、試合途中には興奮のあまり大半の選手が理解できないイタリア語で檄を飛ばしていたという。ミラー紙は5月15日のチェルシー戦でもダリル・ヤンマートにイタリア語で叫んでおり、オランダ代表DFが困惑していたことを伝えている。
 
 また、愛煙家として知られるマッザーリが、自らはトレーニング場で葉巻を吸い、選手に厳しい戦術練習を科していたことも同紙は指摘。それに対して一部の選手たちが不平不満を募らせていたという。
 
 1998年にスタートさせた自身の監督キャリアで初めて国外挑戦を果たしながら、わずか1年で終えてしまったマッザーリ。その後任候補には、元レスター指揮官のクラウディオ・ラニエリの名前が挙がっている。同じイタリア人監督だが、プレミアリーグ経験が豊富で英語が堪能なだけに、前任者の二の舞はおそらくないだろう。
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