甲府在籍わずか4か月…Jリーグの「忘れ去られた助っ人」にブラジル代表入りの可能性が浮上!

2017年05月19日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

日本で失意を味わった男が祖国で大化け。

昨シーズンのカンピオナット・ブラジレイロで得点王に輝いたポッチケール。ブラジル代表入りも噂される23歳だ。(C)REUTERS/AFLO

「ポッチケ」という名の元Jリーガーを覚えているだろうか?
 
 今から4年前の2013年8月にヴァンフォーレ甲府に入団した、当時19歳のブラジル人FWについて記憶しているファンは、かなりの"マニア"に違いない。

 
 それも当然だろう。甲府での出場歴は、天皇杯での1試合のみ。13年9月に行なわれたその福島ユナイテッド戦(天皇杯2回戦)でいきなり決勝ゴールを奪った(1-0で勝利)ものの、以降はハムストリングの怪我にも悩まされ、同年12月、わずか4か月で日本を後にしているのだから――。
 
 2011年に17歳でブラジルの中堅クラブ、フィゲイレンセでプロデビュー。その後、レンタル移籍でアルメニアのカンザサール、そして甲府へと活躍の場を求めたポッチケは、屈強な肉体とパワフルな左足がセールスポイントで、元東京ヴェルディのフッキと比較されることも少なくなかった。
 
 甲府を退団後は、ブラジルやポルトガルのスモールクラブを渡り歩き、昨年2月にポンチプレッタに入団。するとここで、天性の素質が一気に開花する。
 
 すぐさまレギュラーポジションを掴むと、昨シーズンのカンピオナット・ブラジレイロ(ブラジル全国リーグ)では、31試合に出場して14ゴール。ブラジル代表FWのジエゴ・ソウザ(スポルチ・レシフェ)、元ブラジル代表FWのフレッジ(アトレチコ・ミネイロ)とともに、見事得点王に輝いたのだ。
 
 4年前、日本でリーグ戦デビューさえ飾れず、失意を味わった男が、まさしく大化けしたのである。
 
 ポッチケは……いや、祖国ブラジルでは「ウィリアン・ポッチケール」の名で通るストライカーは、今年に入ってからも絶好調だ。
 
 国内の州リーグの中でもっともレベルが高いサンパウロ州リーグで9ゴール。サンパウロのジウベルトとともに得点王に輝き、チームを準優勝へと導いている。
 
 すでに5月下旬からは、インテルナシオナウでプレーすることが決まっているポッチケール。昨シーズン、クラブ史上初めて2部降格の屈辱を味わった名門が、再建の切り札として白羽の矢を立てたのだ。ちなみに、強豪コリンチャンスもポッチケールの獲得を狙っていたと言われる。
 
 これまで年代別のブラジル代表にもまったく縁がなかったポッチケールだが、まだ23歳と十分な伸びしろを残しており、今後の活躍次第では、9月に再開するロシア・ワールドカップ南米予選のブラジル代表メンバーに選出されても不思議はない。早々とロシア行きを決めたセレソンではあるが、CFの層は決して厚いとは言えず、チッチ監督も多方面に人材を求めているという。
 
 Jリーグの"忘れられた助っ人"が来年、ロシアの地で大爆発――。そんなストーリーが現実になるかもしれない。

※『ワールドサッカーダイジェスト』2017年6月1日号(5月18日発売)より抜粋
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