【横浜】ブラジリアン2トップをシャットアウト。中澤佑二のポジショニングの妙

2017年05月15日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「細かいポジショニングで、相手が動き直してくれる」

39歳となった中澤だが、年齢を感じさせないハイレベルなプレーで、今季も横浜の最終ラインで絶大な存在感を放っている。(C)SOCCER DIGEST

[J1リーグ11節]横浜 1-0 甲府/5月14日/ニッパツ
 
 リーグ戦3連敗中で迎えた甲府戦は、金井貢史のゴールを守り切り、4試合ぶりの白星を挙げた。もっとも、順位では自分たちより下にいる相手を圧倒したわけでもなく、攻守にわたり、今ひとつピリッとしない内容でもあった。
 
「今、流れが悪いからね」
 
 久々の勝利に浮かれる様子もなく、中澤佑二は静かに試合を振り返る。
 
「負けているチームだからこそ、何が何でもホームで勝点3が欲しくて、最低限の結果を残したということで。内容的には……特にないです。単純なミスが多かったし、ディフェンスとしても、あわやPKというところまで持っていかれている。まだまだ積み上げていかなければいけないことがたくさんある」
 
 開幕2連勝を飾った当時の勢いはない。チームは不安定な戦いを続けているが、中澤個人にフォーカスすれば、パフォーマンスは決して悪くない。むしろ安定感が増している印象だ。
 
 甲府戦でも、ブラジル人で形成される相手の2トップにほとんど仕事をさせなかった。チームとして、まずはブロックを組んで敵を迎えうつ守備を基本とするなか、局面の勝負では先手を取るディフェンスが光り、ピンチを未然に防ぐ。
 
「なるべく自分の土俵に入れたいんで。自分の1メートル、50センチの細かいポジショニングで、相手が動き直してくれる。そうすると、相手のストロングな部分で戦わなくてすむ場合がある」
 
 ボールのないところでの駆け引き。熟練のディフェンステクニックはますます磨きがかかり、堅守を伝統とする横浜の最終ラインで今季も絶大な存在感を放つ。
 
 日々の鍛錬を怠らず、高いパフォーマンスを維持する一方で、チームを俯瞰する目も持ち合わせる。
 
「(齋藤)学がいろいろと考えて、アイデアを出している。それになんとかみんなが連動してやれれば」
 
 若手主体となり、10番を背負うキャプテンを中心にひとつにまとまろうともがき苦しむチームを、トップレベルのプレーを続ける39歳の大ベテランは陰ながら支えている。
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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