【鹿島】「何をするか分からない選手でありたい」。攻撃のスイッチャーになる遠藤康の存在価値

2017年05月12日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「自惚れずに、もっともっと自分のプレーを高めていきたい」

パサーとしてもドリブラーとしても、質の高いプレーを披露する遠藤。FKのキッカーとしても頼りになる存在だ。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

[ACLグループステージ最終節]鹿島 2-1 ムアントン・U/5月10日/カシマ

 ACLのグループステージ最終節、首位の座を賭けたムアントン・Uとの一戦で、鹿島は2-1でライバルを蹴散らした。
 
 チームを勝利に導く2得点を挙げた鈴木優磨の決定力は素晴らしかったが、そのふたつのゴールをお膳立てした遠藤康のパフォーマンスもまた見事だった。
 
 1点目は、裏に抜け出す鈴木にピタリとスルーパスを合わせてみせる。
 
「練習通りに、いつもやっていることを見せただけ」
 
 2点目は、利き足ではない"右足"でのクロスでアシストした。
 
「中で待つ優磨は、センタリングを上げればヘディングで勝てる選手なので。これも練習でやってきたことの成果だし、右足でも自信はあった」
 
 グループステージで、鹿島は4勝2敗の成績で勝点12を積み上げ、首位通過を果たした。ここまでの戦いぶりを、遠藤は次のように振り返る。
 
「勝って当然と思われていて、そういうプレッシャーを受けながら勝つのは難しいけど、チーム全体で戦って結果を出せたのは自信になる。負けることもあったけど、それを糧にできたからこそ、今日の勝利につなげられた」
 
 今季は開幕前のチーム作りであまり時間を取れず、少なくない新加入選手もいるなかで、「ぶっつけ本番でコミュニケーションを取らないといけないところもあった」。その点で少なからず苦労はしたものの、「今は良い連係でチームとして戦えるようになった」と手応えを口にする。
 
 途中出場を含め、グループステージ全6試合でピッチに立ち、決勝トーナメント進出に貢献した遠藤自身のパフォーマンスについて聞けば、「まだグループステージなので」と断りを入れてから、こう語る。
 
「評価するのはまだ早い。うちらの目標は優勝なので。そこまで勝たないと、自分も評価されないと思う。アントラーズは、タイトルを獲ってナンボのチーム。自惚れずに、もっともっと自分のプレーを高めていきたい」
 
 自慢の左足を駆使したテクニックには定評がある。足の裏を巧みに使いながらボールをコントロールし、配給役にもなれば、自らドリブルで切れ込むこともできる。
 
 ゴールやアシストといった決定的な仕事でその存在がクローズアップされることはあるが、遠藤の凄みは、何気ないワンプレーにあるような気がしてならない。
 
【ACL 鹿島2ー1ムアントンPHOTO】鈴木の2ゴールで鹿島がグループリーグを首位突破!

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