シャペコエンセ、悲劇の地に降り立つ――生還した3選手は事故現場へ

2017年05月10日 サッカーダイジェストWeb編集部

彼らは「あの日、何が起こったのか」を知るために山を登った

奇跡の生還を遂げた3人が、事故現場で元気な姿を見せた。回復、そして今後の活躍を祈りたい。左から順にネット、ルシェウ、右端がフォルマン。 (C) Getty Images

 昨年11月28日、コロンビア・メデジン郊外の山中で起こった航空機墜落事故により、選手、スタッフら47人が犠牲になったブラジルのクラブ、シャペコエンセ。突然襲った最大級の悲劇によって大ダメージを負ったが、そこから立ち上がり、現在は国内外の舞台で戦い続けている。
 
 今月7日にはサンタカタリーナ州選手権連覇を果たし、事故後初のタイトルを獲得。そしてレコパ・スダメリカーナでは、コロンビアのアトレティコ・ナシオナルと対戦し、5日に行なわれたホームでの第1戦では2-1の勝利を飾り、10日にリターンマッチに臨む。
 
 このメデジンのチームとは、本来なら昨年11月、コパ・スダメリカーナ決勝を争うはずだったが、そのための遠征の際にシャペコエンセは悲劇に見舞われた。結局、試合は行なわれることなく、アトレティコの好意でシャペコエンセにタイトルは譲られている。
 
 10日の試合で改めてアトレティコと敵地で対戦するシャペコエンセだが、このコロンビア遠征は事故以来のことであり、当事者ならずとも非常に感慨深いものとなった。
 
 8日、選手団がリオネグロ空港に到着すると、待ち受けた多くの人々から大歓迎を受けた。一行は事故現場にも足を運び、その後、近隣の町の人々から温かいもてなしを受けている。
 
 今回、コロンビアを訪れたシャペコエンセの一団のなかには、事故から生還した3選手、ネット、アラン・ルシェウ、ジャクソン・フォルマンの姿もあった。
 
 彼らは滞在先のホテルから1時間半をかけて移動し、山道を登り、山肌が削り取られた凄惨な事故現場に到着。DFのネットは「全てを自分の目で見て、改めて今、自分が生きているのが信じられない」と語った。(『globoesporte』より)
 
 GKのフォルマンはこの事故で右足切断を余儀なくされ、左足首にも大きな後遺症が残っているが、それでも「ここで何が起こったのかを見ておかなければならない」と周囲の助けを受けて事故現場に立ち、「助かったのは奇跡だ」と、神と救出してくれた人々に感謝の意を表した。
 
 残念ながらフォルマンは、今までのようにはプレーできないが、彼には新たな夢ができたという。(『ESPN』より)
 
「パラリンピックに、サッカーの選手として出場したいんだ」
 
 一方、ネット同様に厳しいリハビリを耐え抜き、怪我が回復したDFのルシェウは、すでにチームの練習にも参加しており、間もなく試合でもプレーできるようになるという。
 
「医師も奇跡だと言っていたよ。あと20日ぐらいで、公式戦にも出られるんじゃないかと思う。信じられないけど、これは現実のことなんだ」
 
 シャペコエンセは前述の通り、10日にアトレティコと対戦する。会場のエスタディオ・アタナシオ・ヒラルドには、この3選手の他、事故で命を落とした乗務員らの遺族も駆け付け、試合を見守ることになるという。
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事