元同僚も「腹が立つ」と怒りの声…人種差別で“試合放棄”のムンタリが出場停止に 

2017年05月02日 サッカーダイジェストWeb編集部

同じく人種差別の標的にされたボアテングも嘆きの声…。

ガーナ代表とミランで共に戦ったボアテング(左)も過去に、ムンタリ(右)と同様に人種差別の被害に遭っている。(C)Getty Images

 人種差別への抗議で主審からイエローカードを出され、自らピッチを立ち去ったペスカーラのサリー・ムンタリが、次節に出場停止になるという。現地時間5月1日、イタリア・メディアの『スカイ・スポーツ』が報じた。
 
 元ガーナ代表MFは4月30日に開催されたセリエA34節、カリアリ対ペスカーラの終了間際、スタンドからの差別チャントの被害をダニエレ・ミネッリ主審ら審判団に訴えたが受け入れられず。逆にイエローカードを出されたことを受けて、許可を得ずにピッチを去って試合を"放棄"した。
 
 こうして無許可でピッチを後にしたため、さらにイエローカードを出されていたという。ミネッリ主審がキャプテンのMFレディアン・メムシャイにその旨を伝えていた。これで2枚目の警告でレッドカードとなり、次節のクロトーネ戦は出場停止になるそうだ。
 
 試合後にムンタリは、カリアリのサポーターではなく、試合を中断せず、逆に差別行為に反応した自身をとがめたミネッリ主審に怒っていたと説明している。
 
 イタリアでのプレー経験が長いムンタリは、これまでも人種差別問題に直面してきた。ミラン時代の2013年には、練習試合中に被害を受けたガーナ代表MFのケビン=プリンス・ボアテング(現ラス・パルマス)が、同様に試合を放棄した際、怒りの声を上げている。
 
 ボアテングは今回の件について、スカイ・スポーツのインタビューで、「とても悲しいことだよ。ムンタリは素晴らしい人間で、常に勝利を目指す。だからこそ、試合を放棄する決断にまで至ったのはショックだ。何もせずに、こういうことをそのままにするのは、本当に深刻なことだ」と嘆いた。
 
 さらに、ボアテングは自身の経験を振り返りつつ、差別撲滅のための動きが不十分であるとサッカー界を非難した。
 
「未だにこういうことに目をつぶっている状況にはすごく腹が立つ。差別チャントをなくすのは非常に難しいことだと思う。FIFA、UEFA、審判たちがもっと力を持つべきだ。これは全員の責任だよ。選手はピッチで戦うことが仕事なのに、強いメッセージを送るためにピッチを離れなければいけないのはおかしい。このような問題に立ち向かうために、僕ら全員はもっと多くのことをやらなければいけない」
 
 しかし、報道通りであれば、差別撲滅への道のりは険しいと言わざるを得ない。
 
 差別チャントに耐え続けた挙句、主審に抗議してイエローカードを出され、失意のうちにピッチを後にすれば再び警告を受け、次節は出場停止。ムンタリの悔しさは想像に難くない。ボアテングの言葉通り、サッカー界全体で向きあっていくべき問題だろう。
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