【川崎】移籍後初ゴールも「納得してない」と「ホッ」の間で揺れる阿部浩之の複雑な胸中

2017年04月22日 江藤高志

鮮やかに見えた同点ボレーも…。

62分に移籍後初ゴールを決めた阿部。「ホッとした」と安堵の気持ちを語った。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ8節]川崎 2-2 清水/4月21日/等々力

 三好康児からのクロスを、左足ダイレクトで合わせる。それだけでも難しいシュートなのに、しっかりと枠に飛ばして決めるのだから、素晴らしいゴールだった。1点ビハインドで迎えた62分。阿部浩之が決めた同点ゴールはかなりの高難度のシュートだった。

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 立ち上がりから清水を押し込んだ試合について小林悠は「今日に関しては、このままやっていれば2点は取れるという感覚はあった」と話す。
 
 ただボールを保持するだけでなく、できるだけ相手ゴールに近づく選択が局面ごとにできており、相手に脅威を与える試合運びができていた。そんな試合を結果に結びつけるには、まずは同点ゴールが必要だった。そういう意味で、阿部が決めたこの得点は、選手たちが感じていた自信を確信に変えるものとなっていた。ファインゴールに見えたこともあり、試合後の阿部にその難易度の高さについて尋ねると意外な答えが返ってきた。
 
「納得はしてないです。あまりきれいじゃなかったですし」
 ゴールが決まったのに「きれいじゃない」という理由で「納得してない」と口にするところに阿部のシュートへのこだわりを感じざるを得なかった。ただ、抜群にシュートのうまい阿部のことだ。イメージしていたのは、もっと素晴らしいシュートだったのだろう。であるならば、ここから先、納得のコメントが出るファインゴールをぜひ見せてほしいと思う。
 
 なお、このゴールが阿部にとって川崎での移籍後初ゴールとなった。そういう意味を持つゴールだったということで、さすがの阿部も「まあでも移籍して初めてのゴールというのは、ずっと早く欲しかったですし、どんなゴールでも1点は1点ですし、ちょっとホッとしてます」と口にしている。
 
 ゴールを期待されて移籍したなか、怪我による戦線離脱もあり、なかなか結果が出せていなかった。勝ちきれないチーム状態もあり、思うところがあったのだろう。これをきっかけに、ゴール量産に期待したい。
 
取材・文:江藤高志(川崎フットボールアディクト編集長)
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