絶好調イスコがベイルの穴を埋める!? バイエルン戦とクラシコの切り札にも

2017年04月18日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

S・ヒホン戦では別次元のプレーを披露。

イスコは4月15日のS・ヒホン戦で2得点をマーク。17分には相手の勢いを止める同点弾、さらにドロー決着濃厚の90分に勝利をもたらす一撃と、どちらも大きな価値を持つゴールだった。(C)Getty Images

 4月18日(火)にチャンピオンズ・リーグのバイエルン戦(準々決勝第2レグ)、23日(日)にバルセロナ戦(リーガ33節)と2つの大一番を控えるレアル・マドリーは、15日のS・ヒホン戦(リーガ32節)でクリスチアーノ・ロナウドら主力を温存し、Bチームとも言うべきメンバー構成で試合に臨んだ。

 敵地エル・モリソンに乗り込んだこの試合で、眩い輝きを放ったのがイスコだ。通常はトニ・クロースが務める左インサイドハーフで起用された技巧派MFは、格下を相手にレベルの違いを見せつけ、主力不在のチームを90分に渡って牽引しつづけた。

 17分には、ペナルティーエリア内で敵3人を手玉に取ってゴール左隅に突き刺し、先制して(14分)意気上がるS・ヒホンの勢いを止めた。さらに2-2で迎えた終了間際には、途中出場のマルセロからパスを受けると、鋭い反転から敵DFの股間を抜くグラウンダーのシュートでネットを揺らし、チームに貴重な勝点3をもたらしたのだ。

 素晴らしかったのは2つのゴールシーンだけではない。得意のドリブルや鋭いパスで何度もS・ヒホンの守備網を切り裂き、またときにはアンドレア・ピルロ(現ニューヨーク・シティ)のように、最終ラインの前まで下がってきてボールを受けてビルドアップの起点になった。さらにボールロスト後に素早く敵ボールホルダーにプレッシャーをかけるなど、守備面でも貢献。まさに八面六腑の働きを見せた。

 圧巻だったのが72分のプレーだ。敵陣にわずかに入ったところで、まず鮮やかなトラップで敵ひとりをいなすと、そのままドリブルを開始。巧みなボールコントロールで2人目を置き去りにしてペナルティーエリア内に侵入し、今度は鋭角的な切り返しでスライディングにきた2人をかわす。シュートモーションに入ったところを「5人目」に止められゴールはならなかったものの、まるでピッチの上でただひとり、別次元の選手がプレーしているかのようだった。

 今シーズンのR・マドリーはとにかく怪我人が多く、現在もCBのラファエル・ヴァランヌとペペのほかに、バイエルン戦の第1レグ(4月12日)でふくらはぎを痛めたガレス・ベイルが戦列を離れている。ベイルの症状は比較的軽いものの、バイエルン戦の第2レグは欠場濃厚で、クラシコに間に合うかどうかも微妙な情勢だ。

 ベイルの代役にはルーカス・バスケスが有力視される。ジネディーヌ・ジダンのお気に入りであり、S・ヒホン戦でもベイルの代わりに右ウイングを務めた。この試合で途中交代(71分)したのも、ジダンがバイエルン戦での先発起用を前提に無理をさせなかったのだと考えられる。

 だが、S・ヒホン戦のイスコのパフォーマンスを見て、指揮官が考えを変えても不思議はない。それだけイスコのプレーは斬れまくっていた。

 たしかにイスコには、天才肌の選手にありがちなパフォーマンスのムラがあり、またウイングは本来のポジションではない。それでもこのスペイン代表を起用する価値はあるだろう。S・ヒホン戦の調子を持続できれば、バイエルン戦、そしてクラシコでC・ロナウドやカリム・ベンゼマを食う活躍を見せるかもしれない。

文:ワールドサッカーダイジェスト編集部
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