ピッチ上に18歳が3人も! 躍動する湘南の10代たちが描く熾烈なライバル模様

2017年04月17日 安藤隆人

指揮官が「監督になってから記憶にないくらい」の若手の躍動

岐阜戦で先制点をアシストした齋藤。同じ10代選手の躍動もあり、危機感をもって日々のトレーニングに取り組む。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 湘南の10代は今、幸福な時間を過ごしている。
 
 前節の東京V戦では、DF杉岡大暉とMF石原広教の2人の18歳と、19歳の神谷優太がスタメン起用され、66分に神谷に代わって18歳のMF齊藤未月が投入されると、77分に石原が下がるまでは、ピッチ上に3人の18歳がプレー。「監督になってから、記憶がないくらい」(曺貴裁監督)、若い選手が躍動し、3-2の勝利を収めた。
 
 そして、J2第8節の湘南対岐阜の一戦では、杉岡と齊藤がスタメンで、石原と神谷はベンチスタートとなった。
 
 この試合で躍動を見せたのは齊藤だった。9分、左CKを得ると、キッカーは齊藤。正確なキックが相手DFのクリアミスを誘い、MF菊地俊介の先制弾を導いた。続く13分にも齊藤が魅せた。中盤で鋭い出足からインターセプトを見せると、そのままドリブルで駆け上がり、GKと1対1に。絶好のチャンスだったが、シュートはコーナーを狙いすぎてゴール左へ外れてしまった。
 
 しかしこのシーンは「彼の良さはボール奪取力。この能力は素晴らしい」と曺監督が賛辞を贈ったように、齋藤の特徴が凝縮されたシーンだった。
 
 その後も攻守に渡って存在感を放った齊藤。だが、チームは岐阜に逆転を許し、同点に追いついても、再度突き放される苦しい展開となった。
 
 それでも集中力と運動量を崩さなかった齊藤は、中盤でのボール奪取と長い距離のスプリントを繰り返す。すると、この働きに刺激を受けたのは、57分に投入された石原だった。85分、左サイドでボールを受けるとドリブルで縦に仕掛けて、中央に飛び込んだFWジネイにピンポイントクロス。これをジネイが頭で叩き込んで、再び同点に追いついた。
 
 試合は3−3でドロー決着。杉岡はいつもの躍動感が影を潜めたが、それでも要所では身体を張った守備を見せるなど、18歳の3人がそれぞれ持ち味を出して、勝点1獲得に貢献をした。
 
「今日は自分の特徴である前に運ぶ力だったり、クロスを上げ切る、ゴールまで行き切ると言うことは、試合を通じてやれた。ボールを奪って前に出るところは最後の質は別として、そこまで行けたのは収穫ですね」
 
 試合後、齊藤はハキハキとした口調で、そう振り返った。
 

次ページ前節良い出来でも次も使われる保証はない。

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