好調・湘南を支える新キャプテン――菊地俊介の断固たる決意とは

2017年04月12日 佐藤俊

今シ-ズン、湘南のキャプテンは高山薫だった。しかし…。

菊地がキャプテンマ-クを巻いたのは、東京V戦で2試合目だ。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 4月9日に行なわれたJ2リーグ8節の東京V戦に3-2で逆転勝ちし、湘南のキャプテン菊地俊介はホッとした表情を見せた。
 
 前節の讃岐戦は0-3で敗れた。スコアよりも湘南らしさを忘れた腑甲斐ない試合をして曹貴裁監督から雷を落とされた。
 
「1週間、前にいくという自分たちの良さを見詰め直すためにたくさん練習してきた」
 
 菊地たちは湘南の持味である"前への意識"を高めて東京V戦に臨んだのだ。
 
 しかし、16分、自分たちのミスから先制され、苦しい展開に追い込まれた。重苦しい空気が流れる中、選手がキャプテンのところに集まってきた。そこで菊地はふたつのことを確認したという。
 
「雨で芝が濡れてスリッピ-になり、慎重になっていた部分があったのでミスを恐れずにやっていこう。相手にボ-ルをもたれた時はもうちょっとコンパクトしてプレッシャ-をかけていこうという話をしました」
 
 その言葉がチ-ム内で共有、徹底され、そこから流れが変わった。
 
 菊地自身は前目のポジションを取った。実は試合前、菊地は山田直輝とジネイをサポ-トするためにボランチよりも高い位置でプレ-する予定だったが、試合直前にダブルボランチに変更された。先制された後は前に位置に上がり、それが同点ゴ-ルに結びついた。
 
 試合状況を読んでポジションを取り、自ら率先して追い付くんだという気持ちをプレ-でみせたのである。
 
 その後も石原広教ら10代の選手が3人もプレ-する中、チ-ムをうまくまとめ、自身も3点目のゴ-ルをセットプレ-で決めるなど、キャプテンとして見事な働きを見せた。
 
「薫(高山)くんがいない中、自分が引っ張って周囲に声をかけるというのは意識していました。苦しい時間もありましたけど、そこは前回の試合(讃岐戦)よりもできたと思います」
 
 菊地は端正な顔を崩して、そう言った。
 
 実は、菊地がキャプテンマ-クを巻いたのは、東京V戦で2試合目だ。
 
 今シ-ズン、湘南のキャプテンは高山薫だった。昨年もキャプテンだった高山はチ-ムをJ2に降格させた責任を感じ、今年はチ-ムをJ1に昇格させるためにキャプテンを続けた。

次ページJ1昇格を果たした2014年に、菊地はル-キ-として入団した。

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