【京都】名コンビ復活! 選手権を彩った京都橘高ストライカー3人衆がサンガの未来を照らす

2017年04月03日 竹中玲央奈

4年前の選手権ではともに5ゴールで得点王を分け合う。

逆転弾を決めた仙頭。勝利にはつながらなかったが、デビューイヤーで早くもチームの主軸となる活躍ぶりだ。(C) J.LEAGUE PHOTOS

 J2第6節。2連敗中の千葉と3連敗中の京都が相まみえるも、結果は2-2のドロー。ともに連敗こそ免れたものの勝利を掴めず、互いに悔しさが残る幕引きとなった。
 
 ただ、内容的には千葉のほうがポジティブにこの試合を捉えられるかもしれない。1点ビハインドで迎えた91分に前線にポジションを移していた近藤直也が、柏時代のチームメイトである菅野孝憲を一歩も動かさない絶妙なヘディングシュートを沈めたことで、勝点1をもぎ取った形になったのだから。
 
 逆に、終了間際の失点により手がかかっていた勝点3を逃した京都にとっては痛恨だった。実際、近藤にゴールを許した瞬間、敗北が決まったかのように多くの選手がピッチにうなだれた。
 
 ショックの度合いは非常に大きく、それはサポーターとて同じ。しかし、試合後にゴール裏に挨拶へ行く選手たちに対していわゆるブーイングが送られることはなかった。むしろ、勝利まであと一歩と迫った選手たちを讃え、次の試合に向けて大きく背中を押すような温かい声援が投げかけられていたのだ。
 
 そこまでサポーターを前向きにさせた要因としてふたつが挙げられるだろう。今季初となる複数得点を挙げられたというのはあるだろうが、それを決めた"選手"が大きいのではないかと思われる。
 
小屋松知哉と仙頭啓矢――。
 
この日の2ゴールを挙げた今季の新戦力である彼らはホームタウンである京都の名門校・京都橘高校の出身選手だ。第91回全国高校サッカー選手権大会で準優勝した同校の中心選手であり、共に5得点を挙げて大会得点王を分かち合った2人でもある。
 
 1学年上の仙頭は卒業後に東洋大へ進学し、小屋松は高卒で名古屋へと進んだ。互いに異なる道を歩んだが、今季より4年ぶりに同じユニホームに袖を通してともに戦うことになった。そしてこの日、2013年1月12日、国立競技場で行なわれた桐光学園との選手権準決勝以来となるアベック弾を記録したのである。
 
 この日の京都はすでに千葉の代名詞となりつつある"ハイライン"の裏を徹底的に狙っていった。今季の京都は後方から丁寧にショートパスで繋いでいくスタイルに挑戦しているが、「無理に繋ぐよりも裏のほうが効果的だったので、そこはチームのやり方としてはありだった」(小屋松)。積極的に相手の背後を取りに行く中で小屋松は持ち前の縦への推進力を出し、攻から守への切り替えの部分でも存在感を発揮。24分に狙い通りの形で小屋松が京都移籍後初ゴールを記録。貴重な同点弾を沈めた。
 

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