【鳥栖】「出てくるなよ…」。GK権田が涙腺を緩ませて語った“戦いたくなかった盟友”

2017年04月01日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

「あいつの辛い時も知っているし、あいつは僕の辛い時も知っている」

試合後に今の想いを告白した権田。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

【J1リーグ5節】FC東京 3-3 鳥栖/4月1日/味スタ

 FC東京との3-3の激闘を終えた後のミックスゾーンで、権田(鳥栖)の涙腺が緩んだのはある選手に訊かれた時のことだった。

「『出てくるのかよ』と思いましたね。対峙したいような……、でも、敵としてやりたくない選手だったので」

 その選手とは、中学時代からともにFC東京のアカデミーでプレーしてきた「カズ」だった。

「カズは正直、この1年半ずっと支えてくれていた。しんどかった時も、一番連絡を取っていたのはあいつだった。カズは、ね……、あいつの辛い時も知っているし、あいつは僕の辛い時も知っているし、だから、『出てくんなよ』と思いました」

 カズとは、FC東京が3-1でリードしていた85分にピッチに入った吉本一謙のことだ。

「僕は鳥栖が勝つ前提で考えていたので、出てくることを想定していなかった。自分で引き金を引いちゃいましたけど、『出てきたか…』と思いましたね。あいつはあいつで、『俺が出てきてから点を取られたから全然ハッピーじゃねえよ』と試合後に言っていましたけど、でも、正直、対峙したくはなかった」

 正直な人間だからこそ、本音が溢れ出てくる。

「今日の時点では(吉本が出てきて)うわっと思いましたね。しかも、4番だし。カズはやっぱり4番のイメージがあって。カズの4番を見た時は嬉しかった。あいつがその背番号をつけるのを知ったのは、今年の最初、僕が小平グランドで練習させてもらった時にカズの靴箱が『4番』になっていて本当に嬉しかった。前につけていた(高橋)秀人がどうこうのではなくて、カズの4番が嬉しくてしょうがなかった」

 そして最後は、涙ではなく笑顔でこう締め括った。

「今回のピッチでカズの4番を見れてよかったということにしておいてください(笑)」

取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)

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