桐光学園の新10番を担うのは、U-15日本代表のスーパールーキー

2017年04月01日 川原 崇(高校サッカーダイジェスト)

かつて中村俊輔が背負った伝統のナンバーを。

期待度も注目度も高い左利きのルーキー、西川潤。Jユースから高体連に活躍の場を移した。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 3月31日、季節外れの寒風が吹き荒れるなか、船橋のグラスポ法典グラウンドに足を運んだ。高校サッカー・春のフェスティバル、そのラストを飾る伝統の大会、船橋招待U-18の取材である。
 
 ホストチームの市立船橋を筆頭に、東福岡、名古屋グランパスU-18、桐光学園、京都橘、広島皆実、鹿島学園、東京ヴェルディユースなどユース年代の強豪15チームが集い、3日間の日程で覇を争う。初日のグラスポで行なわれた第1試合は、桐光学園対京都橘の一戦だった。
【第95回選手権PHOTO】輝きを放った1、2年生プレーヤーたち
 
 スコアレスに終わったゲームで、思いがけずそのプレーに引き込まれた選手がいた。桐光伝統の水色のキットに身を包んだ背番号10、西川潤だ。
 
 入学式をまだ済ませていない新1年生で、中学時代は横浜F・マリノスジュニアユースでエースを張り、今年2月に始動したU-15日本代表では早生まれ(2002年2月21日生まれ)ということもあって、キャプテンを任された。言うなれば、筋金入りのエリートである。
 
 ピッチ上では、独特の雰囲気を醸し出す。179センチ・64キロとひょろっとした印象ながら、鋭い反転から仕掛けるドリブルには切れと力強さがあり、なにより左足のファーストタッチが素晴らしい。フィニッシュのみならずパスセンスも光る。彷彿させる選手を強いて挙げるなら、若き日のラウール・ゴンサレスだろうか。
 
 とはいえ、当然のことながら簡単に前を向かせてはもらえず、後半途中から出場した午後の東福岡戦では、敵DF陣の要でU-18日本代表のCB阿部海大に自由を奪われた。それでも物怖じせず、鬼気迫る気概で、強豪校のディフェンス網に挑み続ける。それはまるで自身の固い決意を、プレーで体現しているかのようだった。
 
 あのまま横浜ユースに昇格していても、近未来に明るい展望は描けただろう。それでも西川は、高体連の名門・桐光学園サッカー部に入部した。なぜか。3つ年上の実兄は、この春に同校を卒業したFW西川公基(神奈川大に進学)だ。やはりその背中を追った影響が大きいのか──。
 
 15歳の技巧派ストライカーが、胸の内を明かしてくれた。
 
「やっぱり選手権に出たい、その想いが一番です。両親やチーム(横浜ジュニアユース)にも相談して、兄には、『厳しいぞ』と言われました。いろんな意味でだと思います。練習の内容も追い込みも厳しいから覚悟しとけよと。足りていない体力的な面であったり、自分がより成長できる環境がここにはある。だから、挑戦したい。最後はもちろん自分で決めました」
 
 ハキハキと話す青年だ。さすがはU-15日本代表でみずから主将を志願しただけのことはある。目力(めぢから)も相当なものだ。

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