長谷部、今野、髙萩が…相棒候補に怪我人続出でも山口蛍は「自分らしさ」を貫く

2017年03月26日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

「誰と組んでも、自分の役割をやるだけ」。

故障者が続出する中盤において、山口に懸かる期待は大きいが…。写真:徳原隆元

 アウェーでのUAE戦(3月23日)で2-0の勝利を収めた日本代表が3月25日、次節のタイ戦に備えて埼玉県内でトレーニングを行なった。
 
 UAE戦でフル出場を果たした山口蛍はこの日、ランニングなど軽めのメニューをこなし、コンディションを調整した。
 
 練習後、取材に応じた山口はUAE戦を回顧。中盤の形はいつもの三角形(2ボランチ+1トップ下)ではなく逆三角形(アンカー+2インサイドハーフ)で、アンカーを担った中、冷静にこなせたと振り返った。
 
「(インサイドハーフとの関係は)とくに問題なくやれた。あのフォーメーションでやったのは初めてで、いろいろ考えながらやっていた。相手に合わせながらやっていた部分はあるので、次やる時があれば、また変わった動きができると思う」
 
 山口は今野泰幸と香川真司のインサイドハーフふたりの後ろで巧みにバランスを取り勝利に貢献。監督からの注文は「真ん中をしっかり締めたい」ということだったというが、本人が「基本的にはほぼ真ん中にいて、CBと話をしながらやっていたので、サイドに釣り出されることもそんなになかった。大変というか、疲れはしなかった」と語るように、見事に遂行してみせた。
 
 28日に迫るタイ戦については「対戦相手が誰であってもやることは変わらないし、求められてる役割もほとんど一緒だと思う」と意気込む。
 
 現在、ボランチのポジションは非常事態だ。キャプテンの長谷部誠が代表合流前の試合で怪我に倒れて不在なうえ、UAE戦で出色のパフォーマンスを見せた今野は左足小指を骨折し、今回約4年ぶりに招集された髙萩洋次郎もリーグ戦で負った右足親指の痛みが引かず、ともに3月25日に戦線離脱が決定している(ボランチの追加招集は浦和レッズの遠藤航)。
 
 故障者が続出する現状では、当然、山口に懸かる責任と負担は大きくなる。それでもこの26歳のMFは意に介さない。
 
「怪我は仕方ないので、いる選手で頑張るしかない。役割はいつもと変わらないし、誰と組んでも、自分の役割をやるだけ。期待されているとは思ってなくて、自分は自分らしくプレーができたら良い」
 
 自分の役割を自分らしく――。練習後の取材では何度もこの言葉を繰り返す。揺るがない心を持った山口は、間違いなくタイ戦のキーマンだ。
 
取材・文:多田哲平(サッカーダイジェストWEB編集部)
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