【日本代表】「みんなを笑顔で迎えられるように……」。途中離脱の長谷部がチームメイトに託した想い

2017年03月21日 小田智史(サッカーダイジェスト)

新たに感じた右膝の痛み。「40~50パーセントくらいの力しか出せない」

離脱前に取材に応じた長谷部からは、チームメイトへの申し訳なさと故障の無念さが伝わってきた。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト特派)

 3月シリーズのメンバー全25人が揃ったのも束の間、3月20日に長谷部誠の離脱が発表された。川島永嗣が「彼に代わるリーダーはいない」と評するように、不動のキャプテンが抜けた穴は大きい。長谷部はメディア対応への開口一番、「この大事な時期にチームを離れることになって、監督、選手、スタッフ、心配してくださるすべての方々に申し訳ない気持ちですし、悔しい気持ちもあります」と苦悩の言葉を綴った。
 
 3月11日のバイエルン戦で、クリアした際にゴールポストにぶつかり、左すねを6針縫う裂傷を負ったが、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督がメンバー発表会見で「すでにトレーニングを始めている」と話した通り、「火曜日(14日)には自転車も全然こいでましたし、そこまで問題はなかった」(長谷部)。
 
 しかし、水曜日(15日)にグラウンドに出て練習をこなし、木曜日(16日)にフルメニューを消化した際、「新たに右膝に痛みを感じた」と明かす。40パーセント、50パーセントくらいの力しか出せない状態のため、18日のリーグ戦前日にMRI診断を希望。結果、クラブが「手術が必要」、「無期限の離脱」と発表する事態となった。
 
 UAEに渡るにあたっては、ハリルホジッチ監督から「ディスカッションしたい」と申し出があり、長谷部も代表のチームドクターの見解を聞くため、フランクフルトに事情を説明してゴーサインを得たという。ただ、返ってきた答えは「君のサッカーに影響が出るようなリスクは背負わせられない」という酷なものだった。
 
「一人の患者として、セカンドオピニオン、サードオピニオンを聞くというのは、当たり前のことだと思います。個人的には、直前でチームを離れることにはやりきれない、断腸の思いがあって、自分の中で割り切れているかと言われれば、まだ割り切れていない部分もある」

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