【柏】3連敗も浮上へのきっかけを掴んだ仙台戦。“寄せの厳しさ”取り戻し反撃態勢へ

2017年03月19日 鈴木潤

ゾーン守備への傾倒が寄せの甘さにつながる。

3連敗を喫した柏。その要因となっている守備面に活路は? 写真:田中研治

 アディショナルタイムの失点によって、0-1で仙台に敗れた柏は2009年以来となるリーグ3連敗を喫した。
 
 昨季リーグワースト8位の44失点を減らすことを大きなテーマとして、今年はキャンプから入念に守備戦術の向上に取り組んできたが、開幕4試合で7失点と、現状ではその成果が見られない。不振にあえぐ要因ともなっている。
 
 下平隆宏監督は、日頃から「ダイレクトプレス」という言葉を用いて、ボールを失った瞬間に奪い返しにいくプレッシングと、たとえそこで奪いきれなくても、プレスの圧力に負けた相手がクリアをして逃げることで、そのセカンドボールを回収し、2次攻撃へ転じる形を理想にしている。
 
 ただ、前線からのプレスがかからなかった時の別手段として、今年のキャンプでは「4-4-2の守備ブロックを作り、各ゾーンを守って組織的に守備をする」という点に重きを置き、守備戦術の統制を進めてきた。しかし開幕以降、チームの守り方がそちらへ傾倒しすぎるあまり、前線からのプレスが少なく、各局面でボールホルダーへの寄せが甘くなってしまったのである。G大阪戦と川崎戦の敗戦は、その課題を浮き彫りにした。
 
 15日に行なわれたルヴァンカップの清水戦は、その反省材料を生かした。
 
 川崎戦からスタメン8人が入れ替わり、これまで出場機会の少なかった選手たちは、"試合に飢えていた思い"も相まって、アグレッシブに戦った。ブロックを作った待ち構える守備ではなく、2トップを組んだ中川寛斗と大島康樹が前線からプレスを仕掛け、守備のスイッチを入れると、彼らの動きに反応して中盤と最終ラインも連動した守備を見せた。1-0で勝利したルヴァンカップの清水戦は、「相手の自由を奪った結果の勝利」とも言い換えることができるだろう。
 
 前線からプレスに行き、局面ではボールホルダーに厳しく寄せていく――。
 
 ブロックを作って各ゾーンを守るだけではなく、そうしたアグレッシブな守備の重要性を再確認した柏は、仙台戦でも前から奪いに行く意識を見せた。

次ページ「セカンドボールへの執着心、浮いたボールへの反応はもっとできる」との声も。

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