【札幌】赤く染まった本拠地で最高の勝ちっぷり。「5年前より間違いなく進歩している」

2017年03月18日 川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

チームとして発揮した、見事な修正力。

勝ち越し弾が決まり、歓喜を爆発させるキム・ミンテ。チーム一丸となって掴んだ今季初白星は、きっと札幌を勢いづかせるはずだ。(C)J.LEAGUE PHOTOS

[J1リーグ4節]札幌2-1広島/3月18日/札幌ドーム
 
 表示されたアディショナルタイムは5分。コンサドーレ札幌のサポーターにとっては、どれだけ長く感じられただろう。
 
 やがてタイムアップを告げる主審の笛が鳴り響き、札幌ドームは熱狂のるつぼと化した。5年ぶりにJ1での勝利を掴み取った瞬間だ。
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 前半は、サンフレッチェ広島の波状攻撃になす術がなかった。左サイドの裏を再三に渡って敵MFミキッチに狙われ、5分にGKク・ソンユンが工藤壮人との1対1を辛うじてブロックするなど、大量失点を予感させる立ち上がりだった。副将のMF兵藤慎剛が「うちのようなスタイルのチームが陥ってはいけない状況」と振り返った時間帯だ。ボールを奪ってもポジティブトランジション(守→攻の切り替え)がままならず、ターゲットのFW都倉賢をめがけて、単調なハイボールを送り込むばかりだった。
 
 ところが12分、均衡を破ったのは札幌だった。兵藤のロブパスに都倉が抜け出し、豪快に左足でねじ込んだのだ。だが、それでも、劣勢の展開は変わらない。21分にCKから水本裕貴にあっさり同点ヘッドを決められると、28分、34分にもピンチを招いてしまう。3バックの粘り強い対応とク・ソンヨンの堅守で、なんとか逆転弾だけは許さなかった。
 
 すると43分、またしても札幌がワンチャンスをモノにする。DF福森晃斗のFKをファーサイドのDFキム・ミンテが折り返し、これが相手DFのオウンゴールを誘発した。苦しみながらも前半のうちに突き放したホームチーム。四方田修平監督は「広島のパスワークが想像以上にスピーディで守勢に回ったが、前半の途中から徐々に慣れていった。あそこを無失点で凌げたのが大きかったし、2-1でも受け身にならずに戦えた」と話した。
 
 後半は、完全に札幌が主導権を握る。ボランチの深井一希が軸となって広島のパスワークを分断し、攻めては、都倉の足下に面白いように効果的なクサビが入るようになる。チームとして発揮した、見事な修正力と言うほかない。
 
 公式戦3戦連続弾を決めたエースの都倉は、「とにかく中を固めてカウンターに備えていた。チーム全体で強気に行こうと話していたし、押し込まれても焦らなかったのも勝因のひとつ」と、胸を張った。
 
 追加点こそ挙げられなかったが、後半は終始攻守両面で広島を圧倒し、危なげなく逃げ切った。終盤に投入されていぶし銀の輝きを放ったDF河合竜二は、こう語った。
 
「最後は5-4-1に近い形で凌ごうと。そういう変化についても自信を持ってやれたし、昔のように引かされて失点するんじゃなく、あくまでこちらが回させているような戦い。5年前より間違いなく進歩してますよ」
 
 赤く染まった札幌ドームで掴んだ、5年越しの「3ポイント」。地力に勝る広島を相手に、チーム全員で劣勢を挽回し、サポーターの大声援を支えに魂を焦がした。
 
 この勝利で、勢いづかないほうがおかしい。
 
取材・文:川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)
 
 
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