【浦和】日本代表GK西川がランキングで示す“走る守護神”としての新境地

2017年03月13日 塚越 始(サッカーダイジェスト)

J1リーグ3節、GKの走行距離ランキングは?

今季GK陣では唯一の6キロ台を記録した西川周作。今季は“走る守護神”としても貢献する。写真:徳原隆元

[J1リーグ 3節]浦和レッズ 4-1 ヴァンフォーレ甲府
2017年3月10日/埼玉スタジアム
 
「レッズのゴールキーパー(GK)は運動量が求められるポジション。もっと、高いレベルの要求に応えて、どんな状況も当たり前のように対応していきたい」
 
 浦和レッズの不動の守護神、西川周作が3節・甲府戦後、ふとそう漏らした。GKが運動量を求められている——というのだ。
 
 そこで、西川の今季の総走行距離を調べてみた。
 
 すると甲府戦の6.108キロは、今季これまでのJリーグのGK陣の中で最長であり、唯一の6キロ台だった。また、1節の横浜戦(●2-3)でも同節のGK陣1位となる5.607キロを記録。2節のC大阪戦の5.338キロ(〇3-1)は同3位だった。
 
 3節平均の5.684キロは、GK陣の中で目下1位。多くのGKの走行距離は3~4キロが平均的であるなか、確かに西川の運動量は突出していた。
 
 昨季の西川の1試合平均の走行距離は、5.047キロ。まだ3試合を終えた時点とはいえ、明らかに昨季を大幅に上回ってもいた。
 
 西川によると、Jリーグが発表するトラッキングデータは「あくまでも参考程度」にチェックしている。それでも最近は、「5キロを超えていると、チームが主導権を握れていて、そのなかで自分も貢献できていると感じられる」と、ひとつの目安にしているそうだ。
 
 チーム全体のポゼッション率を高めることで、勝利の確率を上げるのが浦和の基本スタンスだ。ボールを持つ時間を伸ばして、相手に攻めさせる時間を"与えない"のが狙い。そのなかで、ペトロヴィッチ監督は、GKの西川らにもビルドアップに関与する"11人目のフィールプレーヤー"としての役割を求めてきた。
 
 さらに今季の浦和は、「できるだけ相手陣内で試合を進める」(ペトロヴィッチ監督)という高い理想に取り組んでいる。となれば、後方(浦和陣内)のスペースは一段と空き、GKが守る範囲も必然と広がる。

 カウンターにさらされやすいというリスクが伴い、GKの負担も一段と増す。ただ指揮官はあくまでも西川であれば、そのすべての役割をこなせると踏んで、より高いレベルを要求しているのだ。
 

次ページ西川は言う。「背後のスペースをケアするため、頭も身体もフル回転してなければならない」。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事