【FC東京】機能しない攻撃に大久保が激昂。無言で会場を後にしたエースの胸中やいかに

2017年03月11日 小田智史(サッカーダイジェスト)

思うようにボールを受けられず、自らもPK失敗。

PK失敗をはじめ、2度の決定機をモノにできなかった大久保。今季初ゴールはまたしてもお預けに……。 写真:川本 学

[J1リーグ3節]G大阪3-0FC東京/3月11日(土)/吹田S
 
 大久保嘉人が鬼の形相でパスを要求する、あるいは天を仰ぐ姿を何度見ただろうか。
 
 FC東京の攻撃は、明らかに機能していなかった。G大阪の厳しいプレスの前にパスミスを連発し、業を煮やした大久保が中盤までボールを受けに下がってしまい、攻撃がスローダウンする場面が何度も見られた。大久保の欲しい形でくさびが入ったシーンは皆無だったと言ってもいいだろう。

 
 大久保自身も悪い流れに呑み込まれるように、79分のPKを失敗。88分には右SB室屋成のクロスから迎えたチャンスも、東口順昭の好セーブに阻まれ、今季初ゴールはお預けとなった。
 
 篠田善之監督は大久保と周囲の連係について、「嘉人の欲しいタイミングで出すことも必要だし、嘉人が(中盤に)下りて来すぎているのもある。ノッキングを起こしているような状態だった」と指摘。GKの林彰洋も「個々がバラバラな部分がある。攻撃が上手くいっていないのはみんな分かっている」と課題を口にする。
 
 試合後、サポーターへの挨拶を済ませた大久保は、ユニホームをピッチに脱ぎ捨て、蹴り飛ばすほどエキサイトしていた。ミックスゾーンでは報道陣を手で制し、自らを鎮めるように無言でチームバスに乗り込んだが、不甲斐ない自分への怒りと同時に、超攻撃的なチームとして名を馳せる川崎とのギャップにもどかしさを感じていたのかもしれない。

 
 ドイツのヴォルフスブルクからJリーグに復帰した2009年以降、開幕3試合でゴールを決められなかったのはこれが初めてだ。エースに待望の一発が生まれなければ、本当の意味でチームは波に乗れない。いかにお互いのイメージを共有し、ゴールにつなげられるか。歴代最多のJ1通算171得点を誇るストライカーの意地に期待したい。
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)
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