磐田黄金期を築いた恩師も「お前は代表に入れる!」 今季“群馬の26番”を背負う大卒ルーキーの潜在能力とは

2017年03月11日 竹中玲央奈

大宮に移籍した江坂、瀬川が背負った“出世番号”を受け継ぎ、さっそくプロ初ゴール!

今季、「26」を背負う高井和馬。2節の湘南戦で早くもプロ初ゴールを挙げた。(C) J.LEAGUE PHOTOS

 この2年間で、群馬の背番号26は間違いなく"出世番号"になった。2014年に入団した江坂任がこの番号を背負うと1年目で13得点を記録し、翌年は大宮に移籍。さらにJ1初年度で31試合に出場し8得点を記録した。
 
 そしてその翌年の2016年に入団した瀬川祐輔がその背番号を引き継ぐと、同じく13得点を記録。江坂の後を追うように大宮へ移籍し、初戦の川崎戦で早速先発デビューを果たしたことも記憶に新しい。
 
 チームのトップスコアラーがわずか1年の在籍でいなくなるということは、J1昇格やチームの強化という点を考えると群馬にとっては決して好ましくないことかもしれない。しかし逆に言えば、この2年間で江坂と瀬川が活躍したことにより、"出場機会を得られる"という点で、新卒プレーヤーには魅力的に映っていることも事実だろう。そして、今年も1人の有望な大卒選手が「群馬の26番」を引き継いだ。
 
 それが、J2第2節の湘南戦でプロ初ゴールを記録した高井和馬だ。江坂、瀬川という先達のふたりは関東大学サッカーにおいて"良い選手"ではあったものの、目を見張るような存在感を示していた訳ではない。ただ、この高井は日本体育大で10番を背負い、昨年度の関東大学リーグ戦で得点王に輝いた実績もある。群馬にとって"過去最高の26番"となる可能性を大きく秘めている選手なのだ。
 
 ただ、彼はいわゆるエリートではない。高校時代は千葉SCという街クラブに所属していたが、県リーグ2部で戦っていたほどで全国には遠かった。そんな中、友人とともに進んだ日本体育大で転機が訪れる。
 
 もともと個の力を持ってドリブルで相手を剥がすプレーには長けており、「個人技には自信があった」と語っている。ただ、高いレベルでサッカーを教わったことはなく、持てる才能を最大限に発揮するまでには至らなかった。
 
 そこで、彼の才能に目をつけたのが日本体育大の監督であり、かつてジュビロ磐田の黄金期に監督を務めていた鈴木政一氏だった。2015年に鈴木氏が日体大監督に就き(正確には、2011年~12年にチームを率いて一度離れたため、再就任となる)、真っ先に目をつけたのが高井の存在だったのだ。

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