10日で深化させたミラクル・バルサの「6点を奪うための新システム」

2017年03月10日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

「失われた中盤」を取り戻すため、3バックにシフト。

1990年代前半の戦いぶりを想起させる超攻撃型システムを披露し、バルサはパリSGを撃退した。 (C) SOCCER DIGEST

[CL決勝トーナメント1回戦第2レグ]バルセロナ 6-1 パリSG/3月8日(水)/カンプ・ノウ
 
 4点差をひっくり返すという、CLにおいては前人未到の大偉業を成し遂げたバルセロナ。「奇跡の大勝利」の要因のひとつに、3バック・システムの導入が挙げられるだろう。
 
 ルイス・エンリケ監督が馴染みのある4-3-3を捨て、3バックへの転向を決断したのは、パリSGとの第2レグを10日後に控えた2月26日のアトレティコ・マドリー戦(リーガ・エスパニョーラ24節)だった。さらに続くスポルティング・ヒホン戦とセルタ戦でも、引き続き採用して戦術の深化を図った。
 
 システム変更の狙いはもちろん、パリSG戦で大量点を奪って勝つためだ。
 
 選手の並びは、リオネル・メッシをダイヤモンド型の中盤の頂点に置く3-4-3(または3-1-5-1、3-3-3-1とも言える)。ポゼッション・フットボールの始祖、ヨハン・クライフが率いた1990年代前半のバルサを彷彿とさせるこの攻撃的なシステムは、実際にパリSG戦で見事に機能した。
 
 そして試合は、「6点奪って勝つ」という指揮官の言葉通りの展開になった。
 
 L・エンリケが指揮官に就任した2014年以降のバルサは、強力極まりない前線のMSNにいち早くボールを送るカウンタースタイルが主流になっていた。だが今回、彼らは大量点を奪う必要性に駆られ、中盤より前に多くの人数を割くことを決意。その結果、バルサはバルサらしさを取り戻したのだ。
 
 中盤でのパス回しに、シャビ(現アル・サッド所属)が司令塔を務めていた頃のようなスムーズさはまだない。だがそれでも、パリSG戦はポゼッション・フットボールを軸としたバルサ・イズムがしっかり感じ取れた。今後はこの3-4-3の使用頻度が増える可能性は十分にあるだろう。

文:ワールドサッカーダイジェスト編集部
 
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