「カネが全てじゃない」とするナポリFWに、カンナバーロ率いる中国クラブが超巨額を用意!

2017年02月20日 ジャンルカ・ディ・マルツィオ

中国の移籍市場は2月26日まで空いている。

今シーズンは本職のウイングではなく、CFでブレイクしているメルテンス。中国からの巨額オファーが。(C)Getty Images

 中国スーパーリーグの天津権健を率いるファビオ・カンナバーロ監督は、時計を見つめながら新シーズンに向けたチーム補強に考えを巡らせている。タイムリミットは中国の移籍市場が閉まる2月28日。もう残りは1週間を切った。
 
 最大の補強ポイントは前線。そもそもの第一候補はニコラ・カリニッチ(フィオレンティーナ)だった。しかし、クロアチア代表FWが生活の質とサッカーのレベルを優先したうえ、仲介人の手数料も法外だったため(年俸の4分の1にあたる300万)、年俸900万ユーロ(約10億8000万円)という巨額オファーに断りを入れてきた。
 
 天津権健はその後、ビジャレアルからブラジル代表FWのアレッシャンドレ・パットを獲得したが、カンナバーロはまだ完全には満足していない。
 
 ここにきて新たな候補に上がってきたのが、ナポリでここまで公式戦30試合で20ゴールと大活躍中のドリース・メルテンス。カンナバーロは、ナポリのアウレリオ・デ・ラウレンティス会長に対して4000~5000万ユーロ(約48~60億円)の移籍金を提示する準備を整えている。もちろん年俸も、カリニッチへの提示と同じかそれ以上の金額だ。
 
 しかしメルテンスは、この話にあまり興味を示しているようには見えない。先日も「カネが全てじゃない。ウチは裕福な家庭ではなかったけど、カネについて執着しながら生きることはしなかった。もし僕がカネだけで動いたら、父が悲しむだろう。大気汚染の問題もあって、健康被害の懸念もあるよね」と語っている。
 
 とはいえ、ナポリがチャンピオンズ・リーグの決勝トーナメント1回戦ファーストレグでレアル・マドリーに1-3で敗れ、ベスト8進出の希望が薄れたことで、ナポリと選手本人の意向も変化する可能性がある。
 
 天津権健が用意しているカネ(移籍金と年俸)は、ほとんどの人間が心変わりしても不思議はない十二分な金額だ。天津権健にはすでに今冬、ユベントスと相思相愛だったアクセル・ヴィツェルをマネーパワーで強奪したという"実績"もある。メルテンスとはベルギー代表のチームメイトだ。
 
 中国の移籍市場クローズまで残り1週間。はたしてナポリ、そしてメルテンス自身の決断は?
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
 
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※当コラムではディ・マルツィオ氏のオフィシャルサイトにも掲載されていない『サッカーダイジェストWEB』だけの独占記事をお届けします。
 
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。元プロ監督で現コメンテーターの父ジャンニを通して得た人脈を活かして幅広いネットワークを築き、「移籍マーケットの専門記者」という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にジョゼップ・グアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。
 
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