【岡山】正守護神に堂々名乗り!リオ五輪代表の俊英が捲土重来を期す

2017年02月16日 松尾祐希

出場機会を求めて2年連続の武者修行を決意。

練習試合で猛烈アピールを繰り返している櫛引。開幕スタメンを飾れるか。写真:松尾祐希

「やっぱり試合に出たいと思っていた。そのなかでJ1を狙える岡山から話をもらったんです。チームの歴史は浅いけど、ここ数年力を付けて確実にステップアップしている。そこに魅力を感じて移籍を決めました」
 
 ここ2年、リーグ戦で出場機会を失っていた櫛引政敏。リオ五輪代表GKは捲土重来を期し、今季より清水エスパルスからの期限付き移籍で、ファジアーノ岡山に加わった。
 
 1月に24歳になったばかりの守護神は、ルーキーイヤーから将来を嘱望されてきた逸材だ。青森山田高を経て2011年に清水に入団すると、3年目のシーズン途中に定位置を奪取。翌年には自己最多の29試合に出場し、世代別日本代表でも正GKの座を確保した。
 
 しかし、プロ5年目となった15年シーズン。第1ステージでチームが不調に陥ると、自らのパフォーマンスも低下していった。気が付けば控えに甘んじるようになり、第2ステージはわずか1試合の出場。翌年、櫛引は再起を図るべくレンタル移籍で鹿島アントラーズに加わったが、ここでも思うような結果を残せなかった。リーグ戦では一度もピッチに立てず、与えられた出番はルヴァンカップの3試合だけ。常勝軍団のゴールを長きに渡り守ってきた曽ヶ端準の牙城は、最後まで崩せなかった。
 
 ただ、そのような逆境にあっても、彼に対する周囲の評価は変わらなかった。昨年8月にはリオ五輪本大会の登録メンバーに名を連ね、同年10月の日本代表・GKキャンプにも招集されている。だからこそ、期待に応えるべく、ピッチに立つ必要があった。
 
「相当な覚悟を持って、ここにやってきたと感じる」。
 
 岡山の長澤徹監督はこう語り、櫛引の並々ならぬ決意をひしひしと感じている。15日のサンフレッチェ広島との練習試合(1−1の引き分け)でも、その覚悟をプレーで示した。身体能力の高さを活かしたセービングを随所で披露し、至近距離からのシュートも抜群の反射神経でブロック。その奮迅の働きを間近で見ていたCB篠原弘次郎は、「前に出るところは出てくれるし、どっしりと構えてもくれている。高さもあるし、身体も強いので安心感がある」と賛辞を送った。広島戦で見せたパフォーマンスを継続できれば、正守護神の座はぐっと近づいてくるだろう。
 

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