特大のポテンシャルを秘める新生・東福岡。学ぶべきは伝説の3冠王者たちの“主体性”だ

2017年02月14日 松尾祐希

コーチ陣の目には物足りなく映っていた。

栄光のナンバー10を背負うのが福田だ。1年時に2冠を経験した新エースが牽引車となる。写真:松尾祐希

 昨今、高校サッカーにおける新人戦の重要性は薄れ、力を入れる地域は以前に比べて大幅に減った。しかし、九州では趣が異なる。依然としてレギュラークラスの選手を各チームが送り込み、春先から凌ぎを削る風習が継続されているのだ。
 
「この時期からバチバチやり合うから良い」と大津の平岡和徳総監督が語るように、公式戦でしか得られない経験値を春先に積めるメリットは大きい。今回も九州と沖縄から各県上位2校の16チームが佐賀に集結し、2月10日から4日間に渡って真っ向勝負を繰り広げた。

 そのなかで注目が集まったのは、先の高校選手権でプロ内定トリオ(藤川虎太朗→ジュビロ磐田、髙江麗央→ガンバ大阪、小田逸稀→鹿島アントラーズ)を擁してベスト8に食い込んだ、一昨年の2冠王者、東福岡だ。
 
 今回の九州新人戦はナショナルGKキャンプに参加した松田亮(1年)と、U-18日本代表のスペイン遠征に帯同したDF阿部海大(2年)が不在だったが、それでも新チームには期待値の高い選手が数多く名を連ねる。U-15日本代表に選出された経験を持つGK緒方翔平(2年)、昨年度からトップチーム入りしている右SBの中村駿(2年)、プロスカウト大注目の新10番、福田湧矢(2年)と、正確なキックが魅力のMF青木真生都(2年)といった面々だ。脇を固める役者も揃う。とりわけ「アイツは絶対に良い」と志波芳則総監督が激賞するアンカーの中村拓也(1年)と、最前線を主戦場とするFW大森真吾(1年)のふたりが伸び盛りだ。
 
 ただ、森重潤也監督は「正直、今年のチームに関してはなにもない。現実をしっかり受け止めることが大事」と、選手たちのプレーに疑問を呈した。今大会はベストメンバーを組めなかったとは言え、連携面やパス回しの局面で細かいミスが頻発。予選リーグから個の力で相手をねじ伏せるも、チームとしての未熟さが顔を覗かせた。結局のところその課題は大会中に改善されず、準決勝の長崎総科大附戦を0-1で落としてしまう。組織力の違いを見せ付けられた。
 
 主軸を欠いた影響もあって納得のいくプレーができなかった"赤い彗星"。敗因のひとつに挙げられるのが、課題に対しての取り組み方だ。
 
 準決勝の後、選手たちは宿舎で話し合いの場を設けた。「昨日も2時間以上ミーティングをして、自分たちが思っていることをみんなで発言できた。そこは結構うまくやれている。なので、今日の3位決定戦(大津戦、2-2からPK戦で敗れた)では昨日よりパスが繋げていたし、サイドチェンジもクロスも多くなった。ミーティングの成果は出たと思う」と、福田は意見交換の成果に胸を張った、しかし、コーチ陣の目には物足りなく映っていた。

U-18日本代表が強豪スペインを撃破!!

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