実績十分だが、各々に問題が…「無所属の大物」はどこへ行く?

2017年02月08日 ジャンルカ・ディ・マルツィオ

2月末までは契約が許されている。

現在は無所属の(左から)カッサーノ、カセレス、メクセス。契約を勝ち取れるか?(C)Getty Images

 冬の移籍ウインドウは1月31日でクローズしたが、メルカートが終わったわけではない。中国市場は2月26日まで空いているし、欧州でも2月末まではフリーエージェントの選手と新たに契約を交わすことが許されているからだ。
 
 このメルカートで主役となり得る選手の中には、実績豊かなビッグネームも少なくない。イタリアではとりわけこの3人の動向が注目されている。
 
 まずは、1月25日にサンプドリアとの契約を解除したアントニオ・カッサーノ。34歳となった元イタリア代表のファンタジスタは、家族が気に入るジェノバを離れたがらず、中国などからのオファーを断り、セリエAのクラブでプレーを続ける可能性を探っている。
 
 しかし、まだ見通しは立っていない。ジェノバからほど近いキアーバリに本拠を置くセリエBのヴィルトゥス・エンテッラは、引き続き歓迎の姿勢を見せているが……。
 
 2人目は昨夏にユベントスを退団したウルグアイ代表DFのマルティン・カセレス。昨年2月のアキレス腱の怪我からの回復具合が懸念されていることもあり、フィオレンティーナ、トラブゾンスポル(トルコ)と合意できなかった後、2月上旬にはミランのメディカルチェックを通過した。
 
 しかし、本人が税込み150万ユーロ(約1億8000万円)を望む一方、ミランは固定が20万ユーロ(約2400万円)で1試合出場ごとに5万ユーロ(約600万円)を上乗せするオファーを譲らず、結局は土壇場で破談した。
 
 ただ、ここにきて好条件を提示してきたサウサンプトンのメディカルチェックを通過。給与面さえ合意できれば一両日中に契約書にサインする可能性がある。
 
 3人目は、ミランとの契約が昨夏で満了した元フランス代表DFのフィリップ・メクセス。カセレスに触手を伸ばす前にはサウサンプトンが興味を示していたが、メディカルチェックで膝に問題を抱えていることが判明し、プレミアリーグ入りは叶わなかった。
 
 実績は十二分だが34歳の傷物だけに、メクセスはこのまま浪人生活が続くかもしれない。
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
 
【2017年欧州冬のメルカート】新天地を求めた主な選手まとめ
 
※当コラムではディ・マルツィオ氏のオフィシャルサイトにも掲載されていない『サッカーダイジェストWEB』だけの独占記事をお届けします。
 
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。元プロ監督で現コメンテーターの父ジャンニを通して得た人脈を活かして幅広いネットワークを築き、「移籍マーケットの専門記者」という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にジョゼップ・グアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。
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