冬は補強失敗のチェルシー、コンテの要求で夏はアラバ獲りに挑戦へ

2017年02月07日 ジャンルカ・ディ・マルツィオ

夏はコンテもクラブに強い要求を出すことになるだろう。

コンテが獲得を望むアラバ。チェルシーは夏の引き抜きに向けてオファーを準備か。(C)Getty Images

 説得力のある内容で勝利を重ねてプレミアリーグ優勝に突き進むが、今冬の補強は実質ゼロ――。チェルシーのアントニオ・コンテ監督は奇妙な状況を生きている。
 
 この冬のメルカートでオスカールを中国に売却したにもかかわらず、チェルシーは新戦力を獲得しなかった。
 
 最大の補強ポイントだったのは、ヴィクター・モーゼスとマルコス・アロンソの代役が実質不在の両WB。選手サイドから合意を引き出したセアド・コラシナツは、今年6月で契約満了ながら同じ左サイドのアブドゥル・ラーマン・ババ(チェルシーからレンタル中)が怪我で長期離脱したため、シャルケが放出に応じなかった。
 
 右サイドでは、インテルで余剰戦力となっているジョナタン・ビアビアニーはロンドンまで飛んでコンテと直接話をしたが、あくまでベンチ要員という状況を受け入れられず移籍を断念した。両サイドをこなすダニーロに関しても、レアル・マドリーに断られた。
 
 控えCFではコンテのユーベ時代の教え子であるフェルナンド・ジョレンテ(スウォンジー)、控えGKはディエゴ・ロペス(エスパニョール)の引き抜きに動いたが、同じく獲得失敗。DFネイサン・アケー、MFケネディ、FWチャーリー・ムスンダなどレンタル中だった若手を呼び戻してスカッドに厚みをつけただけで今冬を終えた。
 
 コンテにとって最も重要な補強は、エースのジエゴ・コスタに届いた中国からの超高額オファーを断ったことだろう。
 
 その分、夏のメルカートではコンテもクラブに強い要求を出すことになるはず。指揮官が左WBに欲しがっているのはダビド・アラバ(バイエルン)、アレックス・サンドロ(ユベントス)といったワールドクラス。前者は3バックの左としても計算できる喉から手が出るほど欲しいタレントだ。
 
 もちろんいずれも引き抜きは簡単にはいかないはずだが、チェルシーはそれなりの出費を覚悟して交渉に臨むだろう。
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
 
【2017年欧州冬のメルカート】新天地を求めた主な選手まとめ
 
※当コラムではディ・マルツィオ氏のオフィシャルサイトにも掲載されていない『サッカーダイジェストWEB』だけの独占記事をお届けします。
 
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。元プロ監督で現コメンテーターの父ジャンニを通して得た人脈を活かして幅広いネットワークを築き、「移籍マーケットの専門記者」という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にジョゼップ・グアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。
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