まさに「不屈のライオン」! 無類の勝負強さでカメルーンがアフリカ王者に!

2017年02月06日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

ここぞという場面で見せる勝負強さは際立っていた。

他を圧倒するような強さを見せたわけではない。それでも無類の勝負強さを発揮したカメルーンが、5度目のネーションズカップ制覇を成し遂げた。(C)Getty Images

 2017年アフリカ・ネーションズカップを制したのはカメルーン。2月5日、大会最多の7度の優勝を誇るエジプトを決勝で下し、8大会ぶり5度目のアフリカ王者に輝いた。

 道のりは平坦ではなかった。ブラジル・ワールドカップでの惨敗を受けてチームは世代交代を余儀なくされ、それに伴いタレント力が低下。今大会に臨んだ23選手のなかで世界水準の実力者といえば、CBのニコラ・エヌクルくらいのものだ。そのエヌクルにしても、所属するリヨンでは満足な出場機会を得られていない。

 実際、グループステージはパッとしなかった。初戦でブルキナファソと引き分けると(1-1)、格下ギニアビサウとの第2戦は逆転で勝利を収めたものの(2-1)、続くガボン戦はスコアレスドロー。グループ2位で辛くも決勝トーナメントに進出したとはいえ、その後の戦いに小さくない不安を感じさせた。

 分岐点となったのは準々決勝だ。リバプールの攻撃をリードするサディオ・マネをはじめ旬のタレントを揃えるセネガルを相手に、粘り強いディフェンスで延長戦を含めた120分間を無失点で凌ぎ切り、PK戦の末に勝利。これでチームは自信を深めるのだ。

 ガーナとの準決勝では確かに押し込まれるシーンも見られた。しかし、守備陣が高い集中力を維持してピンチを阻止し続けると、攻めては、72分にミシェル・エンガドゥ=エンガジュイが相手のクリアミスを突いて先制。終了間際には、一気のカウンターからクリスティアン・バソゴグがネットを揺らし、試合を決めた(2-0)。

 ファイナルでは、エジプトの巧みなパス回しから22分にあっさり先制を許した。それでも59分、相手の中途半端なクリアから最後はバンジャマン・ムカンジョのクロスをエヌクルが力強く頭で押し込み、まずは同点に追い付く。そして迎えた88分、途中出場のヴァンサン・アブバカルがチームに特大の歓喜をもたらすのだ。味方のロングフィードを受けると、マークにきたDFを手玉に取り、逆転の一撃を叩き込んだ。

 大会を通して、カメルーンは他を圧倒したわけではない。とくに攻撃面は凡庸で、パトリック・エムボマやサミュエル・エトーが輝きを放ったかつてのチームと比べて、大きく見劣りした。チーム得点王は唯一の2ゴールを挙げたCBのエンガドゥ=エンガジュイだったくらいだ。

 それでも、ここぞという場面で見せる勝負強さは際立っていた。その戦いぶりは、まさしく"不屈のライオン"の異名に相応しい代物だった。

 高いとは言い難かった下馬評を覆してアフリカ王者に返り咲いたカメルーン。今年6~7月にロシアで開催されるコンフェデレーションズカップでも、力強い戦いが期待できそうだ。
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