降格圏が迫るレスターに漂う「不穏な空気」…。苦境打破に求められることは?

2017年02月06日 山中忍

現地で賛否両論の「ラニエリ解任説」。

解任説もにわかに浮上し始めたラニエリ。マンチェスター・U戦後には「最後まで戦う準備はできている」と語っているが……。 (C) Getty Images

 降格の危機が囁かれるチームの監督に解雇の噂が立つのは当たり前。今シーズンのプレミアリーグでは、昨年12月27日にボブ・ブラッドリーがスウォンジーを追われたばかりだ。
 
 チームに浮上のきっかけが見えず、わずか就任3か月で職を追われたアメリカ人指揮官に対しては、さほど同情の声は上がらなかった。しかし、それがレスターのクラウディオ・ラニエリ、つまり「昨シーズンに奇跡の優勝を実現した好人物」となると話は別である。
 
 現地時間2月5日のプレミアリーグ24節のマンチェスター・U戦(●0-3)を前に、イングランドではレスターの指揮官を包む「不穏な空気」が報じられた。
 
 これに対して、試合当日のテレビ解説を務めたジェイミー・キャラガーとガリー・ネビルは、それぞれ「嘆かわしい。本来なら銅像で讃えられるべき人物だ」、「正気を疑いたくなる。解雇などあってほしくない」と、感情を込めてラニエリを擁護している。
 
 この背景には、何より昨シーズンも元々は降格候補だったというチームの「現実」がある。キャラガーを初めとする識者たちからは、レスターの戦力を「並」と評する声が多い。
 
 マンチェスター・U戦で4連敗となったプレミアリーグでの成績は、24試合で21ポイント獲得したのみの16位。普通ならば、監督がその責任を問われても仕方がないが、ラニエリの功績は遥かに大きいのだ。
 
 ラニエリは勝点40を目標に挙げているが、勝点を「安全圏到達」レベルに伸ばすには、残る14試合で19ポイントを積み上げなければならない。
 
 となれば、守りを固めるだけではなく勝つために得点も重要だが、レスターは年明け後、いわゆるプロリーグとされる英国4部までの92チーム中、リーグ戦で唯一得点がなく、得点力不足が叫ばれている。
 

次ページ「ハードワークだけでは救えない」と論じられる岡崎に求められるもの。

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