現在3位! いかにしてフランクフルトは強者の条件を満たしたか!?

2017年02月04日 中野吉之伴

統制のとれたハイレベルな守備で、崩れることがなくなった。

リベロとして新境地を切り拓いた長谷部の存在も、チーム好調の要因のひとつ。今後、僅差で迫るライバルを振り切り、また勝点13差の首位バイエルン、2位ライプツィヒ(10差)を追撃する上で、さらに重要な役割を担うこととなる。 (C) Getty Images

 連敗をしない。
 
 それは、リーグで好成績を上げるための必須条件といわれている。事実、第18節終了時にブンデスリーガで5位内につけているクラブ(バイエルン、RBライプツィヒ、フランクフルト、ドルトムント、ホッフェンハイム)は、どこもこの条件をクリアしている。
 
 長いシーズンを戦い抜くにあたり、常にトップパフォーマンスを発揮し続けるのはどんなクラブでも至難の業だ。圧倒的な戦力と経験を誇るバイエルンにしても、前半戦に苦しむ時期はあった。
 
 そうしたリズムが狂いそうになる時に、チームをすぐに修正し、立て直すことができるかは、その後の展開に大きな影響を及ぼす。
 
 その重要さは、全てのクラブが重々承知だろう。だが、それができるクラブがある一方で、一向に浮上のきっかけを掴むことができないクラブが存在する。
 
 その違いは、どこにあるのだろうか。
 
 今年の初戦でライプツィヒに0-3で敗れたフランクフルトは翌節、アウェーでのシャルケ戦を1-0で制し、3位再浮上に成功した。
 
 今シーズン、調子が良くないシャルケが相手だったとはいえ、FKからの狡猾なトリックプレーで狙い通りに得点を奪い、チャンスらしいチャンスを多く与えることなくしっかりと勝ち切った戦いぶりは、したたかなものがあった。
 
 負けを喫することがあっても、ブレることのない確固たるベースが彼らにはある。
 
 その一端を担っているのが、ニコ・コバチ監督の手腕だろう。プレシーズンから選手をフィジカル、メンタルの両面で徹底的に鍛え上げ、それを最大限に活かすべく、戦術的にも細部にこだわりを見せている。
 
 今シーズンのチームでは、過去と比べて高頻度で非公開練習を導入がされ、それぞれの選手がやるべきことを明確なものにしている。公開練習を求むファンの声がなかったわけではない。だが、コバチ監督は自分のやり方を貫いた。
 
 その甲斐もあり、今では全選手に戦術的規律が浸透し、攻守両面で躍動感のあるパフォーマンスが見られている。
 
 生命線は、高い連動性を誇る守備だ。3バックを基本形に、前線から相手のポゼッションを許さない積極的な守備を展開。それぞれのアクションが単発で終わらずに、すぐ次の動きへと連続して移行できている。伸縮自在な鎖の網が、相手のいかなる攻撃にも対応してみせているのだ。

次ページ長谷部も信頼を寄せる、コバチ監督の指導、采配、人心掌握術。

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