17歳の逸材ジャスティン・クライファート、父親似なのは見た目だけ?

2017年02月04日 中田徹

5万人の観衆沸かせた類まれなプレースキル。

ジャスティン・クライファートが魅せるのはドリブルだけではない。仕掛けからのクロスとパスでも違いを生み出す。 (C) Getty Images

 昨年4月29日、当時16歳だったジャスティン・クライファートは、オランダの名門アヤックスと3年のプロ契約を結んだ。その横には、優しげな眼差しで息子を見つめるオランダ・サッカー界の元スーパースターの姿があった。父親のパトリック・クライファート(現パリSG強化担当)である。
 
 愛くるしく大きな目をした童顔――。ジャスティン・クライファートの顔は、父パトリックと瓜二つだ。しかし、その背格好とプレースタイルは大きく異なる。188cmの長身ストライカーだった父と比べると、ジャスティンの背丈はわずか170cmと小柄で、ポジションもウイングなのだ。
 
「父より良い選手になるよう頑張る。1日でも早く、トップチームに上がって、アムステルダム・アレナの舞台に立ちたい」と語っていたジャスティンのプロデビューは、プロ契約から約半年後の2017年1月15日に訪れる。
 
 アウェーでのズウォーレ戦(エールディビジ18節)、39分からピッチに立ち、左ウイングに入ったジャスティンは、巧みなキラーパスを味方に繋げ、チームの先制点となるPKを呼び込んだ。
 
 そのPK時には、「蹴りたい」とチームメイトにアピール。結局はラッセ・シェーネに譲ってもらえなかったが、とても17歳とは思えない強心臓っぷりを垣間見せた。
 
 俊敏なドリブルに加えてパスにも光るものを持ち、時折シザースを交えたドリブルで相手を翻弄する様は、かなりのセンセーショナル。試合後、識者たちは口々にこう語った。
 
「機能的なテクニックを持っている」(シュールト・モッソウ/アルヘメーン・ダッハブラット紙記者)
 
「左右両方を巧みに使える。ドリブルからのパスもいい」( コー・アドリアーンセ/元アヤックス監督)
 
「例外的なタレントだ」(ピエール・ファン・ホーイドンク/元オランダ代表FW)
 
 識者からも絶賛されたジャスティンの「アムステルダム・アレナの舞台に立ちたい」という夢は、1月29日のADO戦で叶った。デビュー戦を含めた2試合に途中出場し、好プレーを連発した17歳の逸材をペテル・ボシュ監督が、右ウインガーとして先発に抜擢したのだ。
 
 引き締まった表情だったジャスティンは、開始早々の2分にさっそく違いを作る。自陣でスライディングタックルをして相手からボールを奪取すると、すくっと立ち上がり、味方とのワンツーを決めてから右サイドをドリブルで疾走。ペナルティーエリアの中まで突進したのだ。
 
 最後は敵DFに倒されてしまったが、80メートルはあったと思われる長距離を駆け上がったジャスティンの躍動感に、5万人の観衆は惜しみない拍手を送った。

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