ボナベントゥーラの今季終了が決定…窮地ミランはシステム変更で本田のチャンスも増える?

2017年02月02日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

懸念される中盤のクリエイティビティーの低下。

ミランの前半戦の躍進を演出したボナベントゥーラ。その離脱の影響は計り知れない。(C)Getty Images

 ミランが窮地に立たされている。1月29日のウディネーゼ戦(セリエA22節)で主力のジャコモ・ボナベントゥーラが負傷したのだ。しかも、早ければ2か月程度での復帰も可能と見込まれていた怪我は、検査の結果、左内転筋の腱の剥離と判明。手術を余儀なくされ、2月1日にはクラブから全治4か月と発表された。期待されていたシーズン終盤の復帰は絶望的となった。

 今シーズンのボナベントゥーラは4-3-3の左インサイドハーフを主戦場としながら、安定感を欠いたエムバイ・ニアング(1月にワトフォードにレンタル移籍)に代わり左ウイングとしてもプレー。そのいずれのポジションで出場してもハイパフォーマンスを披露し、右ウイングのスソと並ぶ攻撃の絶対的な柱として、ヴィンチェンツォ・モンテッラ監督の信頼を得てきた。

 そんな大黒柱の離脱は、ミランにとって大きすぎる痛手だ。今冬の移籍市場でニアングを手放す一方で、ジェラール・デウロフェウ(エバートンから)、ルーカス・オカンポス(ジェノアから/保有権はマルセイユ)というふたりの実力派アタッカーをいずれもレンタルで獲得しており、左ウイングに大きな問題はない。しかし中盤は、小さくない戦力ダウンを余技なくされそうだ。

 懸念されるのが、クリエイティビティーの低下だ。インサイドハーフでの出場時に持ち前のテクニックを駆使し、攻撃のアクセントとなってきたボナベントゥーラの代役が務まる人材は、現陣容にはいない。

 夏の新戦力であるホセ・ソサとマティアス・フェルナンデスはここまで完全に期待外れで、アンドレア・ベルトラッチは安定感に欠け、ユライ・クツカとマリオ・パシャリッチは力強いプレーに定評がある一方で繊細さや創造性に欠ける。ここまでの起用法を見る限り、日本代表の本田圭佑はそもそも指揮官がインサイドハーフでの起用を考えていないようだ。

 この緊急事態を受けて、イタリア・メディアは基本システムを4-3-3から4-2-3-1に変更する可能性を示唆。その場合ポイントとなるのが2列目の構成だろう。現状では右はオカンポス、トップ下はスソ、左はデウロフェウというのが有力なスタメン候補だ。

 今シーズンは両ウイングの控えに甘んじ、ここまで95分間のプレータイムしか得ていない本田にとっては、仮にシステム変更となれば追い風になるかもしれない。対応可能ポジションが2つ(両ウイング)から3つ(2列目のすべて)になり、チャンスが増えるからだ。

 いずれにせよ、いまのミランに求められるのはチームとしての総合力だ。ここにきて公式戦3連敗と、低かった下馬評を覆して快進撃を見せた前半戦の勢いに、明らかに陰りが見える。そうしたなかで重要な戦力を失ったモンテッラは、いかなる操舵を見せるのか。まずは2月5日のサンプドリア戦(セリエA23節)に注目したい。
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