Jスカウト大注目の前橋育英が新たな船出。名将・山田監督はあえて“悪夢”を呼び覚ました

2017年01月23日 川端暁彦

1-0ながらライバル校を相手に内容で圧倒

群馬・新人大会の準々決勝。桐生一との一戦は田部井悠(8番)の決勝点で前橋育英がモノにした。写真:川端暁彦

 1月22日、太田市運動公園サッカー場で開催された群馬県高校サッカー新人大会。その準々決勝で、前橋育英高校の新チームがベールを脱いだ。
 
 正月の第95回高校サッカー選手権で決勝まで勝ち残ったチームのレギュラーから過半数が残った。「『やりたい』という気持ちはあったと思うけれど、あえて休ませた。ここで休ませないと、あとで辛くなるのは分かっているから」(山田耕介監督)と、ここまでのステージでは彼らを温存。フルメンバーで初めて臨む実戦の機会となった。
 
 相手はFW鈴木武蔵(現アルビレックス新潟)らを輩出し、近年ライバル校として着実に力を蓄えてきた桐生一。冬の武者修行期間で流経大柏を破るなど名を上げており、こちらも腕試しの一戦となる。会場にはJクラブスカウトの姿もあるなど、県新人大会の準々決勝ながら、特別な注目度をもって迎えられた。
 
 ディフェンスラインがそのまま残った4バックに加えて、攻撃的MFの田部井悠(2年)、10番のFW飯島陸(2年)が選手権のチームから残り、さらに本大会で控えに回ったものの、昨季は先発していた時期もある田部井涼(2年)が主将として、そして司令塔として仕切る。新たに先発を張る選手たちも「高さもあれば、強さもあるので、成長を期待している」と指揮官が語る大型FW宮崎鴻(2年)など個性派揃い。陣容は間違いなく全国でも指折りだろう。
 
 試合は田部井悠が決勝点を挙げ、前橋育英が1-0の勝利を飾ったが、内容の差は歴然。「これは強いですよ。ちょっとここまで回されるとは思わなかった」と敵将・田野豪一監督も脱帽するほかなかった。
 
 ただ、経験豊富な指揮官は「自信を持っている選手が残っているのは頼もしいけれど、それが過信になり、やがて慢心となるリスクも大きい」と、主軸に2年生の多いチームが最終学年を迎えたときの「怖さ」を熟知する。「競争がなくなってしまってはいけないし、そこは特に気を付けていきたい。1年生にも面白いのが何人もいますからね」と、メンバーは固定せず、競争させながら伸ばしていく考えだ。
 
 

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