【千葉】「俺がJ1に上げる!」気炎を吐く慶大卒DF溝渕雄志が開幕スタメンを狙う

2017年01月17日 竹中玲央奈

「自分は田舎から出てきたので、絶対にプロになろうと強く思っていました」

キックオフフェスタに参加した溝渕(中央)。中学時代に声を掛けてくれたスカウトの稲垣氏との縁で千葉入りが決まった。写真:竹中玲央奈

 念願が叶い、新たな船出の第一歩を踏み出す瞬間は心躍るものだ。ただ、目指していたプロの世界に飛び込んだその選手から発せられた言葉からは喜びよりも危機感のほうが強く感じられた。
 
「23歳という年はサッカー界において若くない年ですし、1年目で甘えていられる年でもない」
 こう語ったのは今季、慶應義塾大から千葉に加入した溝渕雄志である。
 
 香川出身の溝渕は中学3年生時にスカウトを受け、千葉の名門、流経大柏高に越境進学した。その後、慶應義塾大に進んで1年生から主力として活躍し、千葉と契約を交わすことになった。
 
 複数のクラブの練習にも参加した溝渕だが、このクラブを選んだのはある人物との縁があったからである。それは、2016年度より千葉のスカウトとなった稲垣雄也氏の存在だ。稲垣氏は前職で流経大柏高のスカウトを担当していたのだが、何を隠そう当時中学3年生であった溝渕に目をつけ、千葉行きへの道を開いた人物なのである。
 
「稲垣さんが声を掛けてくれたから、僕は流経柏に行ったんです」
 
 溝渕は15歳にしてサッカーのために地元を離れることになった訳だが、それゆえ"覚悟"は大きかった。
「自分は田舎から出てきたので、絶対にプロになろうと強く思っていました」
 大学時代に彼が言い放ったこの言葉は、強く印象に残っている。
 
 そして、たゆまぬ努力の結果、プロ入りという目的は達成した。しかし、彼の中ではこれが始まりに過ぎない。冒頭の言葉から、溝渕はこう続けて語る。
 
「1年目から即戦力としてチームに貢献して、J1に昇格するという、担い手として存在していかなければ、やっていかなければと。"やっていきたい"というよりも"やっていかなければいけない"という使命感のほうが強い。もちろん開幕スタメンを取るつもりですし、その目標を達成できた時には、試合に出るだけではなくて、出てチームを勝たせるプレーをする。そこまで求めていきたいと思っているので、その覚悟でいます」
 
 ひとつ目標を越えた先には、次の目標に全力で向かう。そこに妥協は一切なく、何事にも満足はしない固い決意が垣間見える。
 

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