【東京V】早くも若手には多大な影響力。伝道師・橋本英郎がチーム力向上のキーマンになる

2017年01月15日 松尾祐希

「僕の先輩である明神さんはいつも危険なところにいた」

新天地での一歩を踏み出した橋本。ロティ―ナ監督の戦術にも理解を示し始めている。写真:松尾祐希

 1月14日、東京ヴェルディは新宿の京王プラザホテルで新体制発表会見を行なった。その席上、ミゲル・アンヘル・ロティーナ新監督は羽生英之社長、竹本一彦GM、新加入選手と共に登壇。チームの方向性に言及したが、課題についても言葉を残している。
 
「サッカーで重要なのはディフェンスをしっかりすること」(ロティーナ監督)
 
 まずは守備面の改善に全力を注ぐことを明かした。そこに関しては、竹本GMも「昨年は失点が61あり、得点は43。得失点差は-28ということで残念な結果でした。失点の数は1試合1失点に落とすことは当然」だと話す。
 
 実際に始動してからは攻撃だけではなく守備にも時間を割いている。新体制が発足して間もないということで現状はまだ理解が進んでいないこともあり、疑問に思えばすぐにプレーを止め、選手たちにボールの奪い方やアプローチの方法を指導。自身の哲学を細かく落し込みたいという意図が見て取れた。
 
 その中で飲み込みの早さを見せているのがセレッソ大阪からやってきた元日本代表のMF橋本英郎だ。監督の意図を汲み取りながら、指揮官から伝えられたことを自らの頭に叩き込むスピードはさすがの一言。
 
「コーチから良い形でフォローが入っている。僕も分からないところが出て、注意をされるのですが、コーチに聞くと良い形で答えが返ってくる。そのへんは掛け合いが良い形でできていけば、理解は深められる」
 
 本人も手応えを掴んでおり、コーチと連係しながら進めていくことで今季のヴェルディを支えるひとりになる可能性を感じさせた。
 また、戦術眼を生かした橋本のプレーが、若手のお手本になる点もチームにとってプラスの材料だ。実際に同ポジションの若手ボランチ・井上潮音も、橋本の動きから学んだと明かす。
 
「僕が守備で分からないところがあったので橋本さんに聞いたのですが、沢山のことを教えてくれた。前の選手の動かし方や、このタイミングでボランチが出た方が良いとか、出ない方が良いとか、ここは中を締めておいた方が良いとか。大事なことを沢山教えてもらったので、守備のところが勉強になっている」(井上)
 
 そこは橋本も若手に伝えたいところだと話す。「僕が若い頃にボランチをやる上で言われたのが、立ち位置を感じること。僕の先輩である明神さんはいつも危険なところにいて、そういう風になれとも言われていた。そこは一緒にやる時に伝えていければいいかなと思う」(橋本)
 
 自身が培ってきた守備のノウハウ、ピッチ内外での経験値。これらを存分に発揮しつつ、伝道師として若手に還元できれば、チーム力は間違いなく向上するだろう。今季のヴェルディにとって、橋本は欠かせないプレーヤーになるのは間違いない。
 
取材・文:松尾祐希(サッカーライター)
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